細胞内の「ミトコンドリア」の質が加齢とともに低下することを確認
2016.08.4
編集部
株式会社コーセー(東京都中央区)は、細胞内の”エネルギー生産工場”と言われる「ミトコンドリア」の質が、加齢とともに低下することを、同一人物由来の加齢モデル細胞系列で初めて確認した。
これまで、同社では紫外線や活性酸素により引き起こされる皮膚老化の研究に取り組んできた。
中でも、同一人物から長期にわたり採取した線維芽細胞を用いた老化研究は他に例がなく、加齢による老化メカニズムの解明に貢献する様々な知見を見出してきた。
今回、この同一人物の各年代から採取した細胞を用いて、細胞供与年齢とミトコンドリアの質との関係を新たに検討。
ミトコンドリアの質は、ミトコンドリアの中に存在する活性酸素消去酵素であるスーパーオキシドディスムターゼ2(SOD2)の量を測ることで評価した。
その結果、細胞内のSOD2の量は細胞供与者の加齢に伴い減少していることが明らかになった。
さらに、別の解析から、各年代の細胞に含まれるミトコンドリアの数に有意な差がなかったことから、ミトコンドリアに含まれるSOD2の量は加齢に伴って減少し、ミトコンドリアの質が低下することがわかった。
これは、加齢によって細胞が活性酸素によるダメージを受けやすい状態になっていることを意味しており、このことがさらに組織の老化を促進させる原因になると考えられる。
同社では、同研究成果を応用し、加齢に伴い低下するミトコンドリアの質を制御できる成分の探索を今後も続けていくほか、iPS細胞技術や同一人物由来の加齢モデル細胞系列を用いた老化研究を行うことで、そのメカニズム解明に貢献する様々な知見を見出していく。
- 参考リンク
- 株式会社コーセー