【連載】化粧品・美容関連ベンチャー企業の成長軌跡【24】シャロ―ネ① ~糖質クラスター形成事業で地元企業と化粧品を共同開発~
2016.10.20
編集部
株式会社シャロ―ネ(香川県高松市、社長前原修氏)は、地域密着型の中小化粧品メーカー。現社長が製薬、化粧品会社での勤務経験を生かして2011年4月に脱サラして独立開業した。
シャロ―ネは、もともと高松市内で、化粧品会社として設立(1980年2月)し事業展開していたが、吸収合併で廃業する憂き目にあった。その時、現社長が継続して社名を使って事業を行うことになり、改めて地域密着型企業として起業を興した。
同社が地域密着型企業として成果を発揮したのが、糖質バイオクラスター形成事業に伴う化粧品の共同開発。
同クラスター事業は、香川県と香川大学等が連携して推進する希少糖、糖鎖、複合糖質など特徴ある糖質の機能を生かした健康バイオ産業の創出を図り、合わせて糖質バイオ集積地を形成することで、地域の活性化を図るのが狙い。2008年12月に糖質バイオクラスター形成事業をスタートした。
同クラスター事業による糖鎖関連の化粧品共同開発は、海洋微生物から抽出する糖類を研究する地元食品会社系列の関連企業と提携して行ったもの。
共同開発の成果は、メラニン色素の生成を抑制に効果があるとされる糖鎖「ウミノグルカン」(商標登録)の開発とウミノグルカン利用の化粧水マスクの実用化。現在、提携先企業の美容クリニックや通販などで販売している。
こうした産業クラスターへの参画による糖鎖の研究や糖鎖利用の化粧品開発の動きは、新製品、新技術開発に意欲的に取り組むベンチャー的指向と合わせて、少数精鋭の経営活動を基本にしながらフットワークの軽さが強くにじみ出ている。
しかし、身のこなしが軽いだけではない。特に、化粧品の開発段階では、協力会社との意思疎通を図り、開発コンセプを理解してもらうことを何よりも優先して開発に取り組んでいる。
これは、経営資源が不足している中で、製薬会社や化粧品会社で学んだ経験やノウハウが基盤になっており、経験値から編み出されたものといえる。
このような経験値から編み出された商品開発が、「顧客との信頼関係を構築することに繋がる」と説く。