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ミルボン、タンパク質の構造変化による角質層ケア方法を開発

業務用ヘア化粧品メーカーの株式会社ミルボン(大阪府大阪市) は、筑波大学の白木賢太郎教授と共同で、角質層のタンパク質の構造変化を抑制、回復させる新しい技術の開発に成功した。併せて、この技術をヒト頭皮に適用することで、頭皮の水分保持能を高め、角質層の機能を回復する効果を見出した。

研究では、CDスペクトル法を用いて、研究用試薬として販売されている角質層由来のケラチンタンパク質の構造を観察したところ、αへリックスを豊富に含む構造であることがわかった。このスペクトルデータを元に、変性抑制成分が角質層ケラチンタンパク質に対しても有効なのかどうかを検討。その結果、変性抑制成分は毛髪のケラチンタンパク質と同様に、角質層のケラチンタンパク質の構造を安定化し、αへリックス構造を回復させることを確認した。

さらに、変性抑制成分によって角質層ケラチンタンパク質の構造が安定化することで、頭皮にどのような効果が表れるのかを調べるために、SPring-8の赤外分光法を用いて角質層内の水の吸着状態について調べた。その結果、フケとして落屑した角質層にヘアカラー処理を行いダメージを与えることで、自由水と呼ばれる角質層の内外を自由に移動できる水の比率が低下することがわかった。

また、この状態の角質層に変性抑制成分を適用すると、自由水の比率が回復することが確認できました。続いて、インフォームドコンセントを得た日本人女性20名を、変性抑制成分を配合した頭皮用化粧水を使用するグループと変性抑制成分を含まない頭皮用化粧水を使用するグループに分けて、1カ月間後の頭皮の水分量と水分蒸散量を比較。その結果、水分量については両グループ間に差は見られなかったが、変性抑制成分を適用したグループでは水分蒸散量が有意に低下し、水分保持能が高まっていることがわかった。

これらの結果より、毛髪のケア成分として見出された変性抑制成分が、頭皮角質層の機能回復にも有効であることが確認されたとしている。

今回の研究によって見出された技術によって、角質層を構成するタンパク質そのものにアプローチした新しい頭皮ケア技術が可能となった。これらの知見は今後のスカルプケア製品などの開発に活用していく予定。

なお、この研究成果は、3月20日の日本化学会第98春季年会にて発表した。

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