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(73)マックスの会社研究 ~化粧品開発研究所で新技術、新製品開発~(下)

明治38年創業のマックスは、2019年3月で操業満114年を迎える。これまで小学校の手洗い石けんとして知られる”レモン石鹸〟を数多く製造するとともに、液体洗浄料や粉体の入浴剤など新しい剤型にも取り組み、現在ではスキンケア、ボディケア、ヘアケア製品の製造・販売(通販)へと幅を広げている。
現在(2019年1月)、市場に投入している化粧品は、石鹸14品目を筆頭に敏感肌7品目、デオドランド9品目など全部で45品目にのぼる。2月に産学官共同開発の柿化粧品3種類を市場に投入すると化粧品品目数は全部で50品目近いラインナップとなる。

こうした化粧品開発は、同社の化粧品開発研究所を中心に行っておりこれまで、石鹸の新技術開発や新技術を応用した化粧品開発に取り組むなど成果を出している。
主な石鹸の新技術開発として石鹸自体をポケットの様な「すり鉢型」(写真)にすることで、素早く泡立つ石けんの形状を開発した。
これにより、固形石鹸でも、忙しい朝の時間にサッと泡立ち、すぐに洗顔することを実現した。 また、複数の石鹸成分を独自の配合で組み合わせ、肌トラブル対策に優れた“石鹸泡〟を開発。これにより、固形石鹸でも、忙しい朝の時間にサッと泡立ちすぐに洗顔することに繋げた。
弱アルカリ性の洗顔料で洗顔を行うことで、弱酸性の洗顔料と比べて、洗顔後に肌の水分量が高まることを試験で実証。 また、弱アルカリ性洗顔後に化粧水や美容液などの保湿ケアを行うことで、弱酸性の洗顔後と比べてより多くの水分の浸透を測定することができた。この研究により、スキンケアの始まりに弱アルカリ性洗顔(石鹸成分)を活用することの有用性を実証した。

一方、化粧品開発にあたっては、地域貢献の一環として産地との連携を通じて原料の調達を行っていることも事業の特徴といえる。
体臭の悩みを解消するコンセプトで開発した柿渋石鹸では、島根県松江市東出雲の農家と提携し、農薬や化学肥料の使用を抑えた「エコファーマー」指定のブランド柿を原料に用いている。 もともと原料の柿は、捨てられていた柿の実を有効活用して柿渋エキスを抽出し、使用しているもの。
同社は、2015年5月に自社農園「ナチュラルファーム」を開設し、原料栽培と化粧品への原料使用を促進している。外部からの原料調達は、多面的なルートで原料調達を推進することで、原料の安定確保を図るのが狙い。

ヌーヴェル日本版(LNE)公式サイトwith美容経済新聞 2025年6月正式リリース!

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加藤勇

顧問記者/ジャーナリスト

元日刊工業新聞編集局部長。欧州、米国特派員を含め記者歴通算45年。ベンチャー、中小・金融政策専門経済ジャーナリスト。「レバレッジ金融至上主義の崩壊」など著述多数。本誌では主に、経済部門、企業取材を担当。

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