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⑤フラーレンの美白、しわ改善等を実証、化粧品に採用(下)

フラーレンの最大の特徴は、美白やしわ改善等の美容効果にある。フラーレンの美容効果は、高いアンチエイジング力にありビタミンCの250倍ともいわれるフラーレンの強力な抗酸化力(肌の酸化を防ぐ)によってもたされている。
美白やしわ改善等の美容効果は、フラーレン原料会社等が行った実証試験によって明らかになっている。
肌悩みの上位に挙げられているシミの主な原因は、活性酸素が要因といわれる。フラーレンは、強力な抗酸化力で、シミの根本的な原因である活性酸素を取り除くことにより美白効果をもたらす。

フラーレンの美白効果確認試験は、ヒトメラノーマ細胞にフラーレンを添加したものとしていないものを用意しそれぞれ紫外線を照射した試験を行った。
試験結果は、紫外線照射後、フラーレン未添加の細胞では、大量にメラニンが産生された半面、フラーレンを添加したものは、メラニンの産生が抑制されていることが確認された。
フラーレンは、シミの根本原因である活性酸素を取り除き肌の美白効果をもたらすことが実証された。美白効果確認図に肌の色を表すメラニンインデックスが低下し美白効果が確認されたことを示す。
大学における臨床試験も実施した。試験方法は、18名の女性に水溶性フラーレンを1%配合した美容ジェルを毎日朝晩2回、顔全体に塗ってもらい使用前、4週間後、8週間後に分光色差計で頬の色を観察した。
この結果、肌の色を表すメラニンインデックスが低下し、美白効果が確認された。

フラーレンの抗シワ効能試験も行っている。試験方法は、23名の女性に対して、油溶性フラーレンを1%配合したクリームと配合していないクリームをそれぞれ左右の半顔いずれかに8週間にわたり塗布。また、クリーム塗布前と塗布後4週間後及び8週間後の肌のシワ面積率の変化を観察することにより、シワ改善効果を評価した。
この結果、シワ面積率の変化量を測定したところ、1%配合クリームを塗った部位のほうが無配合クリームを塗った部位に比べてシワ面積率が下がっていることを確認した。

フラーレンが毛の成長に対してどのような効果を及ぼすのか、フラーレンの効果確認試験を実施した。
試験方法は、ラジカルスポンジを2%含むトニックと含まないトニックを、それぞれ頭の指定部位に朝晩2回塗布。塗布開始前、開始後3か月、6か月目に、指定部位の毛成長速度、毛直径、毛密度、成長期毛率を写真撮影によって測定した。その結果、これは毛包周辺の細胞を活性酸素から守ることによって引き起こされたと想定している。

フラーレンは、三菱商事子会社「ビタミンCバイオリサーチ株式会社」(東京都中央区)が2005年に水溶性フラーレン「ラジカルスポンジ」、2009年に油溶性フラーレン「リポフラーレン」を国内販売し先鞭をつけた。
同社は、植物性スクワランと植物由来フラーレンを組み合わせた100%植物由来の原料「リポフラーレン」を新たに開発し市場投入した。また、フラーレンを籠のように利用し金属原子を内包した「金属内包フラーレン」をMRI造影剤やがん放射線治療への応用などを視野に入れた研究開発に力を入れて取り組むなどフロンティア市場に賭ける期待は大きい。

ヌーヴェル日本版(LNE)公式サイトwith美容経済新聞 2025年6月正式リリース!

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加藤勇

顧問記者/ジャーナリスト

元日刊工業新聞編集局部長。欧州、米国特派員を含め記者歴通算45年。ベンチャー、中小・金融政策専門経済ジャーナリスト。「レバレッジ金融至上主義の崩壊」など著述多数。本誌では主に、経済部門、企業取材を担当。

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