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女性経営者連載1・ランクアップ/上 ~100億円突破の高収益化粧品会社に躍り出る~

現在、化粧品業界で、最も注目されている中小化粧品会社として岩崎裕実子社長が率いるランクアップ(東京都中央区)がある。「肌の悩みを解消する化粧品を作る」との考えで、2005年6月に法人を設立。以降、オリジナル化粧品ブランド「マナラ」「アールオム」「アクナム」を次々と開発。現在、通販市場に投入・販売している。

業績は、2020年9月期で売上高約103憶円と、100億円の大台を突破した。全社員(約100名)の約8割が女性。女性社員のうち約半数にあたる約40名が子どもを育てながら働くママで占める。

社員1人当たりの年間売上高は、約1億円と見込まれ、高い生産性を誇る高収益化粧品通販会社に躍り出ている。

同社の代表的なオリジナルブランド化粧品は「マナラ」で、中軸商品が温感クレンジングのメイク落とし・洗顔「ホットクレンジングゲル」(写真)。

特徴は①メイクを落としながらマッサージが可能⓶温感マッサージでハリと透明感アップ③毛穴よりも小さなマイクロサイズのゲルと極小シュガーオイルで、毛穴の奥まで汚れを取り除き、毛穴の目立たない滑らかな仕上がりを実現④セラミドやヒアルロンなど91.3%が美容液成分でできているなど。

同ゲルは、岩崎裕美子社長自らが開発し2006年に通販市場に投入した。現在までの累計販売本数は、約17000万本(2021年5月)に上り同社のドル箱的存在となっている。

同ゲルが支持され続けている理由は、クレンジングでありながら成分のほとんどが美容液でできている点。

多くの女性が使っている洗浄力の強いクレンジングは、石油系の界面活性剤が多く配合されている。メイクは、スッキリ落ちる半面、肌に必要な潤いや油分まで根こそぎ洗い流してしまう欠点があった。

そこで、開発者の岩崎社長は、石油系界面活性剤を使用せず、植物由来の界面活性剤を最小限の配合量にとどめ、しかも美容液成分で肌を守りながら洗い上げる商品開発を実現した。その結果、洗顔後の乾燥や毛穴に悩んでいた多くの女性に支持され、ヒット商品に繋がった。

「ホットクレンジングゲル」以外に毛穴ケアの「オンリーエッセンス」や洗顔料「モイストウォッシュゲル」、オールインワン美容液の「オンリーエッセンス」なども商品化している。

マナラの姉妹ブランドとして開発した「アクナル」は、ミスト状化粧水洗顔&メイク落とし、日焼け止め・化粧下地などをラインナップ。

メンズブランドの「アールオム」は、2020年7月に開発し市場投入した男性用化粧品。酵素洗顔料やオールインワン美容液、オールインワンシャンプーなどをラインナップしている。

こうした自社オリジナルブランドの化粧品は、同社の製品開発部で生み出したもの。開発の基本は①スタンス⓶ポータブルスキル③専門知識の3つを重視している。

中でも、開発についての考えかた、心構えなどの「スタンス」に最も開発の基本を置く。

この理由は、ホットクレンジングゲルを開発した岩崎社長の「売れる製品より人の役に立つ製品を作る」「悩みを解決できる製品づくり」を理念とした開発コンセプトを基盤としており「そのための心構え・スタンスが必要不可欠」との考えによる。

ヌーヴェル日本版(LNE)公式サイトwith美容経済新聞 2025年6月正式リリース!

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加藤勇

顧問記者/ジャーナリスト

元日刊工業新聞編集局部長。欧州、米国特派員を含め記者歴通算45年。ベンチャー、中小・金融政策専門経済ジャーナリスト。「レバレッジ金融至上主義の崩壊」など著述多数。本誌では主に、経済部門、企業取材を担当。

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