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【1】 キユーピーが「やさしい献立」強化、市場の7割占める

キユーピー(東京都渋谷区)は、市販向けの高齢者食「やさしい献立」シリーズを 強化している。今年8月には肉や魚をよりやわらかく仕上げる製法を使った「鶏と野菜のシチュー」「豚汁煮込みうどん」「牛ごぼうしぐれ煮」の3商品を発売したのをはじめ、果物による食欲喚起を意図した「とろけるデザート」「すりおろし果実」の両シリーズを全国に出荷した。「やさしい献立」シリーズは食べる 喜びにつながることを意識した全57品目で、レトルトタイプの高齢者食市場の7割を占めている。

2000年の介護保険スタートと並行して、 日本介護食品協議会が2002年に設立され、食べる力に合わせたユニバーサル・デザイン・フード「UDF(Universal Design Food)」の自主基準を定めた。それまで高齢者対策はバリアフリーが重視されていたが、噛む力、食べる力が弱い人のための「UDF」の時代に入ったと言える。

UDFは4つの区分に分けられている。区分1は「容易にかめる」、区分2は「歯ぐきでつぶせる」、区分3は「舌でつぶせる」、区分4は「かまくてよい」で、その他に「とろみ調整」の区分がある。かつては食品メーカー毎にこの区分の基準が異なり、消費者は混乱してきた。そこで日本介護食 品協議会が統一の自主基準を作成したのだ。

とろけるデザート(もも)+すりおろし果実(りんご)「やさしい献立」はドラッグストアや大手スーパーの介護食コーナーなどで市販されている。区分1には、鶏と野菜のシチューや貝柱のマカロニグラタンなど7品、区分2は豚汁煮込みうどんやおやじ親子丼風など14品、区分3はやわらかおかず肉じゃが、やわらかごはんなど23品、区分4は、なめらか野菜にんじん、なめらか野菜かぼちゃなど11品である。

特徴的な商品もある。区分3の「味わう 海鮮雑炊」は魚介とだしが主役で、おいしさにこだわる方に適した5品である。「おかゆの具」4品も混ぜる・かけるだけでおかゆを毎日おいしく食べられる商品だ。「とろみ調整」に該当する「とろみファイン」2品は、料理や飲みものの風味を変えずになめらかなとろみを付ける食材である。

キユーピーは「70代、80代の人は戦前戦後の食に苦労した時代と飽食の時代の両方を体験しているので、食体験が豊富です。そこでメニュー選択の幅を大事にしま した。食べることは五感を刺激するので、心身に良い影響をもたらします。食べる喜びをいつまでも感じていただきたいと思います」と説明している。

 

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加藤勇

顧問記者/ジャーナリスト

元日刊工業新聞編集局部長。欧州、米国特派員を含め記者歴通算45年。ベンチャー、中小・金融政策専門経済ジャーナリスト。「レバレッジ金融至上主義の崩壊」など著述多数。本誌では主に、経済部門、企業取材を担当。

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