サロンでのキャリアの始まりからアロマテラピーの専門性に至るまで、Rachel Dipintoは「ケア」への情熱を本物の使命へと昇華させてきました。学び、発見、そして個人的な挑戦を経て、彼女は自らの歩みを共有し、美容の専門職に携わる人々へ未来への希望を持つよう励まします。その軌跡をご紹介します。
肌トラブルから学んだ美容キャリアの転機
「化粧品が好きなら美容の道に進んでみたらどう?」——こうして兄弟姉妹から勧められたことをきっかけに、Rachel Dipintoは美容の学びを始める決意をしました。これまでサロンに通った経験がなかった彼女にとっては未知の世界でした。2008年、ベルギーのEFPに入学し、3年間にわたって学びました。日中は美容サロンで働き、夜は学校で専門知識を習得するという日々を過ごします。
「自分の道を見つけられて嬉しかったです。人をケアし、アドバイスすることが好きだと気づきました。ただし、忙しい勤務の中で個々に合ったアドバイスを行うのは簡単ではなく、少しもどかしく感じていました」と当時を振り返ります。
最終学年を迎えた頃、Rachel Dipintoは湿疹を発症しました。「脱毛やスクラブのために頻繁にオイルを扱ううちに、ほとんど製品に触れなくなってしまいました。腕や手はひどく炎症を起こし、包帯を巻いて仕事をしていたほどです。顔にまで広がったこともありました」と彼女は説明します。皮膚科を受診した結果、原因は製品やその揮発成分、さらに長時間労働によるストレスであると診断されました。処方されたのはコルチゾンを含む治療薬で、症状を抑えることはできましたが、服用をやめるとすぐに再発しました。
卒業後も1〜2年間はサロンで働き続けましたが、負担の大きさとストレスにより症状は悪化する一方で、最終的に辞める決断を下しました。
サロンでのキャリアの始まりからアロマテラピーの専門性に至るまで、Rachel Dipintoは「ケア」への情熱を本物の使命へと昇華させてきました。学び、発見、そして個人的な挑戦を経て、彼女は自らの歩みを共有し、美容の専門職に携わる人々へ未来への希望を持つよう励まします。その軌跡をご紹介します。
ハーブ学との出会い
敏感肌用のパラファーマシー製品をよく利用していた彼女は、ベルギーの大手チェーンに応募し、2012年からブリュッセルの大型店舗で販売アドバイザーとして勤務することになりました。
「夢中になれる素晴らしい世界に足を踏み入れました。その時に初めて精油や植物オイル、植物由来のサプリメントに出会ったのです。独学でインターネットや書籍を通じて学びましたが、正式な研修を受けていないために、お客様へのアドバイスに限界を感じていました。そこで夜間のハーブ学の講座を探し始めました」と語ります。
夜間講座での学び
同じ学校の夜間課程に入学し、ハーブ学を体系的に学ぶことになりました。ハーブティー、粉末、カプセル、煎じ薬など、植物の多様な利用法を学ぶとともに、芽のエキスを使うジェモセラピー、アロマテラピー、ハイドロラテラピーなども学びました。
「数多くの代替医療が目の前に広がりました。素材そのものを自分に取り入れる方法を知ったのです」と彼女は語ります。この学びを通じ、Rachel Dipintoは自身の湿疹を自然な方法でケアする術を見つけました。そして少しずつ、人々のケアという原点に立ち返っていったのです。
再び身近な人へのケアから
「再び友人や家族にケアを行うようになり、パラファーマシーで見つけた製品を使っていました。植物オイルやハイドロラット、クレイなどを利用し、自分で作ったブレンドが実際に効果を発揮するのを確認しました」とRachel Dipintoは語ります。
販売アドバイザーから教育担当へ
仕事に大きなやりがいを感じていた彼女は、パラファーマシーで顧客にアドバイスを行う一方で、身近な人たちにケアを施していました。ほどなくして勤務先のパラファーマシーグループから教育担当の役職を任されます。任務はグループに所属する薬剤師に化粧品についての研修を行うことでした。
パラファーマシーからパフューマリーへ
2015年、パフューマリーグループの店舗マネージャー職を打診されます。「ハーブ学やパラファーマシーの分野からはかけ離れていましたが、興味を引かれました。さらにマネジメントやリーダーシップの研修を受けられる条件もあり、新しいことを学びたい気持ちからこの提案を受けました。チームの運営や売上の配分を学び、大変有意義な経験となりました」と振り返ります。しかし、経験としては実りがあったものの、パフューマリーの世界で自分の居場所を見つけることはできませんでした。
独立への挑戦とSNSを活用した美容活動の広がり
販売アドバイザーや教育担当として数年を過ごした後、Rachel Dipintoは再び実践的なケアを行いたいと感じ、独立を志します。ただしリスクを避けるため、まずは歯科助手としてパートタイム勤務をしながら活動を始めました。
「Instagramを使って自分を知ってもらい、友人の知人に施術を行い、料金をいただくようになりました。効果が出ていると実感しました」と語ります。
個別対応とエネルギーを重視したアプローチ
歯科助手の仕事と並行して自宅で顧客を受け入れ、やがてブリュッセルで店舗を借りるまでに顧客が増加しました。当時はすべての施術をオーダーメイドで行い、例えばネイルケアにはアロエベラジェルやヒマシ油を使用していました。また、施術の最後にはカードを引いて「今日のメッセージ」を伝えるほか、顧客に石を選んでもらったり精油の香りを体験してもらうなど、エネルギー面を重視した手法も取り入れていました。「こうしたアプローチがお客様に好評でした」と振り返ります。
高まる知名度
2018年、Rachel Dipintoは歯科助手を辞め、アパートに拠点を構えて顧客を迎えるようになりました。同年モロッコ・マラケシュで指圧を学び、2019年にはタイでボディマッサージを習得するなど、施術プロトコルを拡充しました。しかし2020年、世界的な新型コロナウイルスの流行により活動は中断されます。「施術ができなくなったため、SNSで知識を発信し始めました。その結果、Instagramのフォロワーが1万4,700人にまで急増し、テレビやラジオへの出演依頼につながりました」と語ります。
その後、フランス3テレビの「Vous êtes formidables」への出演が実現し、同時期にSlow Cosmétiqueとのコラボレーションも行いました。
アロマテラピーと学びの深化
知識をさらに深めたいと考えた彼女は、コロナ禍にアロマテラピーの100%オンライン講座を受講しました。「通常は1年かかる内容を集中的に学び、4カ月で修了しました。精油の多様な作用について徹底的に学ぶことができました」と話します。さらに2025年には化粧品学と毒性学の研修に挑戦し、化粧品に関する知識を一層強化しています。
進化するコンセプト
パンデミック後、顧客対応を再開しましたが、肩の慢性的な痛みによりボディケアは行わず、フェイシャルに専念するようになりました。「顔のマッサージに強い情熱を持っていたので、2022年にSylvie Lefrancのもとでフェイシャルヨガを学びました」と語ります。現在はフェイシャルケアやマッサージに加え、企業向けの精油体験セッションやナチュラルコスメづくりのワークショップも提供しています。
自然派コスメと個別カウンセリングで広がる美容サービス
現在Rachel Dipintoが提供しているのは、天然素材や自然由来の製品を使ったフェイシャルケアとマッサージのみです。原料はBiofloreから仕入れ、製品はJonzacやCimeを使用しています。自家製コスメは規制により販売していません。
「施術を始める前にまずお客様の希望を伺います。多くの方がスキンケア製品の選択に迷っており、市場に製品があふれているためです。そのため肌に合わせたオーダーメイドのコーチングを行っています。ただし、全員が自分で製品を作りたいわけではないので、市場にあるブランドを紹介することもあります」と説明します。施術は一人ひとりに合わせて行い、季節や状況に応じて内容を調整しています。フェイシャル1時間は95ユーロ、2時間は150ユーロです。
また、ベルギーのRTBFラジオ「Tendance Première」でウェルネスコーナーを担当し、スキンケアやウェルネスのトレンドを紹介しています。
美容の専門職が担う未来への重要な役割
Rachel Dipintoは美容の専門職に従事する人々を「欠かせない存在」と捉え、「人々は触れ合いや心地よさを求めており、この職業には将来性がある」と語ります。