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透明感と高機能で進化する日焼け止め最新トレンド2025


執筆:Sophie MACHETEAU

2025年は、日焼け止め市場において間違いなく大きな転換点となるでしょう。スキンケアと日焼け止め製品の完全なハイブリッド化が確立される年となりそうです。2025年の日焼け止め市場は、これまで以上に革新的であり、同時に既存の枠組みを覆すような展開が期待されています。

1990年から2023年の間に皮膚がんの発症率が3倍に増加したこと、さらに消費者が紫外線による光老化への認識を一層高めていることが、日焼け止め市場の成長を大きく後押ししています。

世界の日焼け止め製品市場は、2031年までに209億2,000万ドルに達すると予測されており、2024年から2031年の間に年平均5.37%の成長が見込まれています(出典 Kingsresearch)。ますます高性能かつ多様化する処方や、技術革新によって製品の魅力は一層高まり、強化された保護効果、透明性の高い仕上がり、耐水性、そして官能的な使用感など、消費者体験を向上させています。

化粧品が日焼け止め機能を備え、日焼け止めが高度なアンチエイジング機能を兼ね備えるようになったことで、市場は大きな変革を遂げ、さらに活気づいています。

2025年に市場をリードするスティック日焼け止めの魅力

2024年に注目を集めつつもまだ限定的だったスティックタイプの日焼け止めが、2025年には市場の主役となっています。スティックはもはやエコ志向のクリーム代替品という位置づけにとどまらず、現代性、本物志向、高度な技術、確かな効果、心地よい使用感、そして抜群の利便性を兼ね備えています。まさに、あらゆる条件を満たす理想的な製品へと進化しています。

光による糖化を防ぐ次世代日焼け止めの可能性

2025年の日焼け止め製品は、もはやUVAやUVBを遮断するだけではありません。一部の製品はブルーライトや赤外線からも肌を守るほか、本格的なスキンケア機能を兼ね備えています。アンチエイジング効果、鎮静、保湿、シミ予防、肌を美しく見せる効果、さらには肌荒れ防止まで、多角的な働きを果たすのです。

事例紹介

Thalgoの「Riviera Sun」シリーズは、地中海産の微細藻類 Dunaliella salina を活用し、光による糖化ストレスや酸化ストレスに対抗するアンチエイジング効果を実現しています。この藻類は、非常に高濃度のカロテノイドを含み、強い日差しや過酷な紫外線に適応する優れた能力を持っています。

この微細藻類をもとにバイオテクノロジーによって抽出されたβカロテンや無色カロテノイドであるフィトエン、フィトフルエンは、抗酸化作用と抗糖化作用を同時に発揮し、線維芽細胞、メラノサイト、ケラチノサイトという皮膚の主要な3種類の細胞を保護します。これらは活性酸素を中和し、光を浴びた肌における最終糖化産物(AGEs)の生成を68%抑制します。

こうしたカロテノイド成分は、日光にさらされることで進む肌の早期老化を防ぎ、若々しさを維持する効果をもたらします。さらにこのシリーズでは、強力な抗酸化作用と美しい日焼けをサポートするアスタキサンチンと、保湿効果を持つアロエベラの組み合わせも採用されています。

光による皮膚の糖化に注目

糖化とは、特にグルコースなどの糖が皮膚のタンパク質に結合し、最終糖化産物(AGEs)が生成される現象を指します。糖化が進むとコラーゲン繊維が硬化し、まるで「キャラメル化」したように弾力や構造を保つ機能を失ってしまいます。

その結果、弾性繊維が硬くなり、厚みを増して糖化した塊を形成します。UVAの影響によってこの現象はさらに悪化し、肌の柔軟性やハリが失われる「ソーラーエラスターシス」が生じます。また、UVやAGEsによるメラニン生成の乱れが、早期のシミ出現へとつながります。

透明感で進化する2025年の日焼け止め市場の新潮流

フランスでは依然として日焼け止めの使用が十分ではありません。より多くの消費者に使用を促すには、使用感の魅力が重要な鍵となります。塗布したくなる日焼け止めとは、美しいテクスチャー、心地よい香り、そして何よりも肌に塗ったときの「完全な透明感」です。2025年は、これまでの二分化──すなわち「エコ志向ブランド=ミネラルフィルター」「従来型ブランド=化学・有機フィルター」──が終わりを迎える年になると見られています。

合成フィルターの登場

今年は、ミネラルフィルターよりも新世代の合成フィルターが注目を集めています。代表的なものには、Octyl Triazone、Bemotrizinol、DHHBが挙げられます。特筆すべきは、従来は環境志向の姿勢を打ち出してきたブランドが、2025年の処方にこれらを積極的に取り入れている点です。これらのフィルターは、UVA・UVBに対してSPF50+の高い防御力を発揮し、優れた光安定性を備えています。また、顔や唇のデリケートな肌だけでなく、タトゥーや傷痕、ほくろの保護にも適しており、さらに藻類の成長を妨げないため海洋環境にも配慮されています。そして最後に何よりも、仕上がりが完全に透明であることが大きな魅力です。

「白浮きしない」から「インビジブル」へ

これまで日焼け止めのパッケージには「白浮きしない」という表現が多用されてきました。しかし現在は、より前向きで訴求力の高い「インビジブル(透明)」という表現を採用するブランドが増えています。「インビジブル」は、2025年の日焼け止め市場における「魔法のキーワード」として、売上拡大の重要な要素になりつつあります。販売現場では、この特長を積極的に打ち出し、実際に体感できる形で訴求することが推奨されます。

マイクロカプセル技術が叶える自動調整型日焼け止め

新世代の日焼け止めフィルターが実現する「透明感」は、肌を引き立て、美しいゴールドの艶を与えるカラーフォーミュラとも両立します。こうした輝き(グロウ)効果は顔用日焼け止めに限らず、ボディ用にも広がっています。たとえば、マイカ粒子を配合したローションは光を反射し、自然でシルクのようななめらかさを持ちながらもべたつかない仕上がりを実現します。

事例紹介

Ericson Laboratoireが「Soin Teinté Hydra-Perfecteur SPF 50+」を発表した機会に、R&D責任者Florence Girard-Krige氏とマーケティング・製品ディレクターIsabelle Dié氏に4つの質問を行いました。

Ericson Laboratoire「Soin Teinté Hydra-Perfecteur SPF 50+」に関する4つの質問

Ericson Laboratoireが「Soin Teinté Hydra-Perfecteur SPF 50+」を発表した機会に、R&D責任者Florence Girard-Krige氏とマーケティング・製品ディレクターIsabelle Dié氏に4つの質問を行いました。

製品カテゴリー

この製品はどのカテゴリーに分類されますか?

これはマルチ機能のハイブリッドケアであり、フェイスケア、日焼け止め、肌色補正の役割を兼ね備えています。

Complexe H2O Diffusion System

Complexe H2O Diffusion Systemについて教えてください。

この複合成分は「Hydra Advanced」シリーズの全製品に配合されています。即時的な保湿効果と持続的な保湿効果を実現し、水分保持成分の生物学的利用可能性を「パッチ効果」技術で長時間維持します。これにより肌に保護膜を形成し、さらに天然保湿因子(NMF)と同様の働きで水分を蓄える効果も発揮します。成分にはバイオポリマー、尿素、トレハロース、グルコース、キシリトールなどが含まれています。

新世代フィルター

このハイブリッドケアで採用された新世代のフィルターについてご紹介ください。

この新しいフィルターはUVAとUVBを包括的に防御し、優れた光安定性を持つことが特徴です。つまり、太陽光にさらされても分解されにくく、高い防御力と肌への優れた耐性を実現します。今回配合した4種類のフィルターはSPF50+の保護効果を発揮すると同時に、製品の使用感を高めています。さらに環境への影響も抑えられています。

マイクロカプセル技術

肌色に合わせて調整できるマイクロカプセル技術とは?

この技術は色素をマイクロカプセル化し、肌に塗布すると少しずつ色が放出される仕組みです。特徴的なのは、塗布の強さに応じて放出される色素の量が変化する点です。優しく塗布すると色の発色は抑えられ、しっかり塗布すると色がより強く現れます。そのため、望む肌色に応じて自動調整が可能であり、「カメレオン効果」と呼ばれる自己調整型の仕上がりを実現しています。

ISOが承認した新SPF試験法とその特徴

2025年は、日焼け止め業界にとって大きな転機の年となります。国際標準化機構(ISO)により、新たに2つのSPF試験法が承認されたのです。これらの手法は、より倫理的で侵襲性が低く、それでいて日焼け止めによる紫外線防御効果を同等に信頼性高く評価できるものです。目的は、ISO 24444に準拠した従来法と同等の信頼性を持ちながらも、人体を紫外線にさらさない試験方法(in vitro または ex vivo)の確立にあります。

新しい代替法としては、ハイブリッド方式のHDRS法(ISO 23698)や、完全にin vitroで行うISO 23675法などが導入され始めています。これらの方法は、試験の迅速性、再現性、倫理性を向上させることを目指していますが、すべての研究機関で普及させるには、運用上の調整やさらなる習熟が必要とされています。今後の動向が注目されます。

消費者を魅了するためのブランド戦略と今後の展望

2025年は、光防御分野における重要な転換期であり、多くの革新が見られるとともに、まだ使用に消極的な消費者層を惹きつける強い意欲が示されています。光防御は、夏だけでなく一年を通して日常のスキンケアに組み込まれる流れが加速しており、その存在意義はかつてないほど高まっています。これからは市場や消費者を魅了するために、各ブランドが実力を発揮する番です。



Inner Beauty Award 2025 ―受賞商品発表―

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編集部(フランス)

Les Nouvelles Esthétiques編集部(パリ)…1952年にフランスで創刊されたLes Nouvelles Esthétiques社が発行する美容技術者や経営者向けの専門誌。本誌は、美容、健康、ウェルビーイングに関する情報を提供しており、世界20数か国にライセンスを供給するなど、国際的に展開する美容専門メディアとして広く認知されています。

  1. 透明感と高機能で進化する日焼け止め最新トレンド2025

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