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エステティシャン育成30年史~下村朱美が語る世界へ羽ばたく“おもてなし”の力~

知識×技術で顧客満足を最大化するエステティシャン養成メソッド

花上:シェイプアップハウスグループといえば、エステティック業界の礎を築き、業界の発展に貢献しているというだけでなく、有能なエステティシャンを輩出する専門学校も非常に有名ですが、下村さんはどういったきっかけでこの業界に入られたのでしょうか?普段は聞けないたくさんの秘密やこれまでの歩みなどについて伺えればと思うのですが、どうぞよろしくお願いいたします。

下村:とても緊張していますが、こちらこそよろしくお願いいたします。

花上:今年で30周年を迎えられますが、人並みの努力ではここまで長きに亘り支持を得つづけ、つねに最前線を行くエステティックサロンであり続けることは本当に難しいと思います。まずエステティシャンになろうと思ったきっかけをお聞かせください。

下村:正直、何も特別なことはしておりません。あっという間に30年が経っていたという感覚です(笑)。きっかけは、20代の頃にエステティックサロンに行った時、お客様をキレイにしようと一生懸命なエステティシャンと出会ったことです。私と同じような若い女の子が、一生懸命キレイにしてくれようとしている―。
その姿に感動を覚え、「あぁ、若い人でも人のためにこんなに一生懸命にできる仕事があるんだ」と感じました。

ただ、当時のエステティシャンは、施術にしても商品にしても、“なぜ”“どんな風に”いいのかをまったく分かっていませんでした。皮膚の構造や化粧品の成分についても、きちんとした知識を持っていないエステティシャンがほとんどだったのです。私は、そんな彼女たちを見ていて、このエステティシャン達が知識を身につけられれば、彼女たちが望む「お客様が喜ぶ効果」をもっと出せるはずだと強く思いました。

そこで、「明確な理論を持つエステティックサロンをつくりたい」という想いで、今も昔も勉強することにこだわってきました。とにかく理詰めで「理解して、安心して技術を受けられるサロン」というものをつくる努力をしました。そこで24歳の時に大阪に小さなサロンをオープンさせたのが始まりです。

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花上:サロンのオープン後、御社がここまで大きくなるまでに色々とご苦労もあったかと思うのですが。

下村:当時は小さなサロンでしたが、当社のサロンに通ってすっかりキレイになったお客様を見た周りの人達や美容関係の業者の間で、「シェイプアップハウスの技術はすごく痩せるらしい」と評判になり、大変な口コミ効果ですっかり有名になってしまいました。
その間も、教育とサロンの業績は比例するということを肌身で感じ、より教育の重要さを思い知らされたので、エステティシャンの養成を始めました。
CMなどで専門学校のPRをしていくうちに、美容学校にエステの学科ができたり、エステティシャンになりたいと思う人が少しずつ増えてきました。私としては本当にうれしいことでした。きちんとした知識と技術を持ち合わせる有能なエステティシャンをひとりでも多く世に出すことが、今も変わらず私が持ち続ける目標です。

花上:技術力が高いエステティシャンの誕生は、下村さんの努力の賜物と言っても過言ではないですよね。専門学校も今では東京、大阪、名古屋と主要都市に展開していらっしゃいますし。

下村:1990年から行っているエステティシャン養成のノウハウに基づき、2008年から順次学校法人化を行ってきました。2012年4月には大宮、千葉にも開校予定ですので、全部で5校になります。まだまだ学校によって技術レベルがまちまちではあるのですが、仕事にやりがいの持てる子を育てたい、知識が豊富で技術レベルが高く接客のうまい子を育てたい、売り上げにも積極的でお客様にもオーナーにも好かれる子を育てたいと、天才的で夢のようなエステティシャンをつくること、就職しても辞めない人材を育てることが私の使命だと思っています

世界に誇る日本の“おもてなし”ジャパニーズホスピタリティの魅力を発信

花上:ここ最近のエステ業界の動向をどのようにお感じになられますか?

下村:面と向かっての接客で、さらに肌に触れるという私たちの仕事は、技術力はあって当たり前のもので、根本的に重要なものは“人材”です。よい人材さえいれば業界は潤う―。そう思っています。
でも、同じ美容というカテゴリーの中で、美容師業界は大きなマーケットを築いているのに、エステ業界は伸び悩んでいます。ストレス時代とも言われる現代において、ほとんどの人が健康でキレイになりたい、やさしく癒されたいと思っているはずなのです。ではなぜ伸びないのか?

それは、未熟な技術によるトラブルや、肌と合わない化粧品を選び使用してしまうこと、高額な契約など、エステに対しての不安が多々あるからだと思います。でも、実際にはヘアケアよりもスキンケアやメイクにかける時間とお金の方が大きいわけで、エステの重要性は認識しているはずです。だったら、自分ではうまくカットができないから定期的にプロがいる美容室に行くというように、エステでも、自分にはできないことをしてもらう日常の一部と思ってもらえるようにする。必ずキレイになれる、癒される、健康にしてもらえるプロがいるから通う、と思ってもらえるようにすればいいと思うんです。

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花上:本当にそうですよね。確実に結果が出るエステティシャンがいて、色んな意味でのストレスを緩和してくれるエステティックサロンであれば、行きたくなる、行くことが当然と感じられますしね。

下村:そうなんです。私どものサロンは、春の陽だまりのような、平和で癒されるサロンだとよく言っていただけます。それは、徹底した教育を受けたことによる確実な技術力と、エステティシャンの高い人間性による接客がなせる技です。

「シェイプアップハウス」という名前の通り、ショップではなく“家”、つまりお客様の第2の家でありたいと願っています。今、成長産業のキーワードは「3K―環境、健康・福祉、幸福感」と言われ、まさにエステティック業界はこれに当てはまるので、もっと伸びるはずです。
エステサロン同士でお客様を奪い合うのではなく、業界がまとまって切磋琢磨しながら本当のプロをつくっていけば、もっと潤っていくと思います。

花上:下村さんは、どうしてそこまでご自身の会社のためというよりも、お客様のため、皆のためとお考えなのですか?

下村:それは、私がこれまでとてもよい人たちに巡り逢えたから。いつもあまりの無防備さに社員からは心配がられていますが(笑)。ただただ、一生懸命だったサロンをオープンさせた頃、お客様により満足していただくにはどうしたらよいか?もっとできることはないか?と思い、必死で勉強して資格を取り、技術を磨いていたところ、お客様がすごく喜んでくださったんです。「よかったわね!すごいわね!」と…。

私の仕事の醍醐味ってこういうことだったんだと改めて認識させられた瞬間でした。
ですから、その時感じたことを念頭に、今でもより一層のレベルアップのため、エステティシャンの養成や社員教育に心血を注いでいます。

花上:それこそ、まさに今の業界の発展に必要不可欠なことですね。今後はどのような展開をお考えなのでしょうか。

下村:日本人のおもてなしの心や美学は“宝”だと思っています。これらが土台となったレベルの高いサービスが提供できるのは日本しかありません。我が社は3年前に海外進出したのですが、日本の技術者をどんどん海外に出していき、日本のホスピタリティを世界に知っていただきたいと思っています。そのことが、ひいては日本のエステ業界が発展し、潤うことにつながるからです。“ジャパンイズ ナンバー1”ではなく、“ジャパニーズ イズ ナンバー1”ということ名実ともに形にできればと思っています。

美しいものには人を幸せにする力があります。人間性、外見、健康を磨くことで美しい人ができる。それを叶えられることこそがエステティックの真髄です。

花上:最後に、色んな場面で業界に携わっている方たちにメッセージをお願いします。

下村:私自身もつねに心に留めていることですが、積極性のあるやさしい人になってほしいです。そして、そのためには勉強をして自信を身に付けることが不可欠です。自分のやっていることに誇りを持ち、日本人らしいサービスをしていきましょう。そうすれば必ずよい循環が生まれ、エステ業界は益々発展していくと思います。

花上:このインタビューを通して、下村さんのお人柄はもちろん、業界に対する熱い想い、エステティシャンに対する厳しいながらも優しい気持ち、お客様に並々ならぬサービス精神をお持ちだということが本当によくわかりました。本当にありがとうございました。

下村朱美氏をゲストに迎えお話をうかがい、私たちも業界発展のために尽力していこうと、気持ちも新たに感じることができました。

下村朱美(しもむら・あけみ)/1977年池坊短期大学卒。1982年エステティックサロンを開業し、現在「ミス・パリ」「ダンディハウス」「WASPA 」などのブランドを国内外に約100店舗展開。1990年「ミスパリ インターナショナルスクール」を開校。2008年「学校法人ミスパリ学園」を設立し、全国に4 校の美容専門学校を開校。

ヌーヴェル日本版(LNE)公式サイトwith美容経済新聞 2025年6月正式リリース!

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