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【後編】データで見るエステサロンのOEM活用〜オリジナル化粧品開発の需要と壁〜

▶ 前編はこちら

💡 記事の要点

  • 高い開発ニーズ:エステティックサロンの約63%が、サロンコンセプトを表現し他店と差別化を図るための「オリジナル化粧品(PB)」作りに強い関心を示しています。
  • OEMメーカーの選択基準:サロンが委託先を選ぶ際、研究開発力はもちろんのこと、在庫リスクを抑えるための「少量対応(小ロット)」が最も現実的かつ重要な基準となっています。
  • 参入を阻む最大の障壁:「莫大なお金がかかる」というイメージや、処方・品質管理・薬機法に関する専門知識の不足が、オリジナル化粧品への挑戦を躊躇させています。
  • ファクトデータ:本記事は株式会社美容経済新聞社が2021年に実施した「化粧品OEMに関する調査(エステティックサロン19店対象)」の分析データを基に、委託側の本音を紐解いています。

1. エステティックサロンにおける化粧品導入の現状と本音

多くのエステティックサロンでは、施術用のアイテムとして一般市場向けではなく「エステティック専用として販売されている化粧品」を主に使用しています。しかし、美容のプロフェッショナルであるサロン経営者たちは、現在使用している既製品に対して必ずしも100%の満足を得ているわけではありません。

63%のサロンが「オリジナル化粧品を作ってみたい」と回答

アンケート調査にて「オリジナル化粧品を作ってみたいか?」と尋ねたところ、全体の約63%(19店中12店)のサロンが「作ってみたい」と回答し、自社オリジナルやこだわりの化粧品に対する極めて高い関心が浮き彫りとなりました。 この背景には、化粧品に対するプロとしての強いこだわりがあります。

なぜ自社ブランド(PB)を作りたいのか?

「作ってみたい理由」として最も多く挙げられたのは、「サロンコンセプトにあう化粧品が欲しい」という回答でした。次いで、「原材料や素材にこだわった化粧品が欲しい」「自分が本当に使いたい化粧品がない」「安全性の高い化粧品が欲しい」という理由が並びます。 経営者にとって、化粧品は単なる消耗品ではなく、自分の思い描くサロンでお客様に最高の満足を与えるための重要なピースです。施術からホームケア用化粧品に至るまで、すべてをサロンのコンセプトにトータルで合わせることで、サロンのイメージアップや強固なブランディング、他店との差別化を図りたいという熱意がうかがえます。

2. エステサロンがOEMメーカーを選ぶ「リアルな基準」

オリジナル化粧品を作る意向があるサロンに対し、実際にOEMメーカーを選択する場合の重視点を調査しました。

理想の処方よりも重視される「少量対応」

選択理由として「研究開発力」や「原料や素材などにこだわっている」「品質管理・製造管理に優れる」といったクオリティ面のメリットに着目する声は当然多く集まりました。 しかし、それらを凌いで現実的に最も重視されていたのが「小ロット生産(少量対応)」が可能かどうか、という点です。同時に「安い・費用がかからない」ことや、「企画〜納品まで期間が短い」ことも挙げられています。 どれほど優れた成分や処方であっても、生産ロット数が多ければ莫大な初期費用がかかり、過剰在庫のリスクを抱えることになります。店舗規模の限られるサロンにとっては、低リスクでスモールスタートできる小ロット対応こそが、OEM選びの絶対的な必須条件となっているのです。

3. オリジナル化粧品開発を阻む「3つの分厚い壁」

潜在的なニーズは非常に高いにもかかわらず、実際の市場において「化粧品OEM」という手法はサロン経営者にほとんど認識されておらず、オリジナル化粧品の普及は道半ばです。調査の中で「作ってみたくない(または興味はあるが作らない)」と回答したサロン(11店)の理由を分析すると、参入を阻む大きな壁が見えてきます。

① 最大のネックは「金銭面」への恐怖

作らない理由として圧倒的トップとなったのは、「お金がかかる」という金銭面の問題でした。それに付随して「売れ残ったら困る」という在庫リスクへの懸念も多く寄せられています。実際の詳細な費用体系を把握しているわけではなくとも、「オリジナル=ハイコスト」という強烈な先入観が大きな阻害要因として立ちはだかっています。

② 処方開発と品質管理に関する知識不足

次いで多かったのが、「処方開発が大変そう」「品質・安全性管理が大変そう」という意見です。化粧品の成分や安定性に関する専門知識がないため、ゼロから商品を作り上げるプロセスに対して強い不安を感じています。

③ 薬機法(旧・薬事法)など複雑な法令関係への不安

さらに、「薬事法などの法令関係がわからない」という声も多数挙がりました。人体に使用する化粧品は厳しい法規制の対象であり、パッケージの表記や広告表現など、サロン単体ではカバーしきれない法的リスクに対して及び腰になっている現状が明らかになりました。

総じて、サロン経営者は「難しそう」「お金がかかりそう」というネガティブな印象をOEMに対して持っており、これがオリジナル化粧品を敬遠する決定的な理由となっています。

4. 化粧品OEM市場を開拓し、成功に導くための今後の提案

前編で述べた通り、OEMメーカー側は受注の安定化や営業の負担軽減という課題を抱えています。一方で、後編で見てきたように、エステサロン側には「自社ブランドを作りたい」という強烈な潜在ニーズが存在しています。この両者をつなぐことができれば、双方の課題を解決する巨大な新規市場が開拓される可能性があります。

そのための具体的なアプローチとして、以下の提案が挙げられます。

化粧品OEMの一般化と「透明性の高い情報発信」

OEMメーカーは、サロン経営者が抱く「難しそう」「莫大な費用がかかる」という誤解やネガティブな印象を払拭する努力が必要です。 化粧品OEMの存在を一般化し、需要拡大に努めるためには、専門知識のない異業種の方でも理解できる「わかりやすい開発フロー」をアピールすることが重要です。また、具体的なモデルケースを用いて必要コストをシミュレーションできるようにするなど、透明性の高い情報発信を行う姿勢が求められます。

低コスト化を実現する「小ロット・パッケージ共通化」の提案

金銭的なハードルを下げるための具体的な解決策として、トライアルを促進するための徹底した少量対応(小ロット生産)プランの構築が必要です。さらに、サロン側が負担に感じる「パッケージデザインを考えるのが大変」という課題に対しても、容器デザインを共通化・標準化することでデザイン費や資材コストを大幅に下げるなど、現実的かつ手軽なソリューションを提案することが効果的です。

潜在ニーズは極めて高い層であるため、化粧品OEMへの理解度を深めてもらい、意識変化を促すことさえできれば、サロン発の素晴らしいオリジナルコスメが市場に多数登場することになるでしょう。OEMメーカーとエステサロンがタッグを組むことで、今後の化粧品市場はさらに豊かで多様なものへと進化していくことが期待されます。

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