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円形脱毛症に有効なトファシチニブクエン酸

円形脱毛症へのJAK阻害剤トファシチニブクエン酸の安全性と有効性を検討した論文が9月22日、「JCI Insight」オンラインに掲載された。「JCI Insight」は、1908年設立という歴史を持つアメリカ臨床研究学会(American Society for Clinical Investigation) 主催のサイト。

ストレスが原因と言われることが多い円形脱毛症だが、ストレスと円形脱毛症との関連メカニズムが解明されてはいない。最近の研究では、CD8 + T細胞によって媒介される自己免疫疾患のひとつとするのが主流ではあるが、効果的な治療法はまだ確立されていない。

円形脱毛症により50%以上の毛髪の抜け毛がある、または全身性脱毛症の患者66人を対象に、1日2回のトファシチニブ(5mg)を3ヵ月間投与した。治療後の効果は、髪の成長持続時間や遺伝子発現の全体像を把握する トランスクリプトームの観察などで評価した。

患者の32%に、SALT scoreで50%以上の改善が見られた。円形脱毛症は全身性脱毛症よりも薬剤の効果があった。疾患発生から治療までの期間が短かったことや治療前に頭皮生検で確認された炎症の期間が短かったことがよりよい改善と関連していた。休薬8.5週で脱毛症が再発した。有害事象は重症ではない感染症のみだった。持続性のある効果は見られなかったものの、今回の研究期間および薬剤の量でトファシチニブ酸が重症円形脱毛症に安全で効果があることが示された。トランスクリプトームの変化は、この疾患に予期せぬ複雑なメカニズムがあることを示唆している。

ヌーヴェル日本版(LNE)公式サイトwith美容経済新聞 2025年6月正式リリース!

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橋本奈保子

顧問記者(国際情報、薬事・医療ニュース)

名古屋大学大学院、英国Durham University, Graduate School 卒。編集者、ライターを経てフリージャーナリストとして独立。専門分野は、医学・化学関連。また、同分野を中心に翻訳、ウェブコンテンツ・ディレクターとしても活躍中。 本誌では主に、米国欧州を中心に先端美容医療、化学、米FDAなどの情報を担当。

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