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【8】誠心堂、周期療法と漢方薬、鍼灸を組み合わせて美肌を実現(下)

誠心堂薬局が展開している美肌周期療法の原型は、1980年代頃に中国の中西医結合医学から生まれた。当時は、美容の方面ではなく、「婦人科治療に周期療法を取り入れようという方向性があったようだが、日本では私が初めて美容向けに提唱した」(西野氏)という。

西野氏によると、美肌周期療法を導入したきっかけは、アトピーをはじめとした皮膚炎に使用する漢方薬「消風散」の効果が、患者によって異なったこと。この問題を解決すべく中医学に興味を抱き、本場中国の老中医に学んだ。その過程で、西洋医学の皮膚科の診断方法が中医皮膚科の外用をそのまま応用できることに着目。そこで、まずはアトピー性皮膚炎で悩む患者のための薬用スキンケアとして「爽肌精」ブランドを立ち上げた。

「爽肌精」には当帰、苦参、黄連、甘草などが配合されているが、富山医科薬科大学(現富山大学)の研究によると、当帰や苦参などの生薬は肌のバリア機能に大切なセラミド生成能を高めることがわかっている。

その後、肌のバリア機能は女性ホルモンと密接な関係があることから、生理周期に合せた美肌周期療法向けの「爽肌精」へと展開してきた。現在は、漢方薬や鍼灸との併用も行うことで効果を上げており、個人差はあるが「にきびだと1~2週間で改善できる」(西野氏)。

誠心堂薬局を訪れる患者の年齢層は幅広い。年齢別のお悩みとしては、10~20代がにきび、30~40代がしみ、しわ、たるみ、50代以降はアンチエイジングと世代によって求める治療は異なるという。

患者の体質・症状などによって処方は異なるが、アトピーやにきびには「清営顆粒」「竜胆瀉肝湯」「温清飲」を使うことが多い。しみについては、「加味逍遥散」に牡丹皮、山梔子、地楡、赤芍などの活血薬・涼血薬を組み合わせる。たるみは、「亀鹿二仙丸」に「爽肌精」のオリエンタルエッセンス(刺五加、地黄、枸杞子、人参、川芎を配合)を組み合わせると良い。

誠心堂薬局の強みは「(中医学という長い歴史に裏打ちされた)理論を駆使している点」(西野氏)。近年、日本では、一つ身体に良い食物がメディアなどで取り上げられると、そればかり熱狂的に摂取しようと人が殺到するフードファディズムが見受けられる。しかし、中医学の理論では「人間にはいろいろな体質があり、身体の中に陰陽がある。その陰陽に合わせた美容法もあるということを知ってほしい」(同氏)と訴える。

ヌーヴェル日本版(LNE)公式サイトwith美容経済新聞 2025年6月正式リリース!

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加藤勇

顧問記者/ジャーナリスト

元日刊工業新聞編集局部長。欧州、米国特派員を含め記者歴通算45年。ベンチャー、中小・金融政策専門経済ジャーナリスト。「レバレッジ金融至上主義の崩壊」など著述多数。本誌では主に、経済部門、企業取材を担当。

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