コスメディ製薬、マイクロニードル技術応用の化粧品開発・通販市場に投入
2019.02.13
編集部
独自の技術で化粧品を開発するコスメディ製薬株式会社(京都府京都市)が国のJスタートアップ企業に認定された。化粧品、美容関連の企業がJスタートアップに1社も認定されない中で、製薬企業でありながら化粧品の開発、製造・販売等に取り組むコスメディ製薬のJスタートアップ認定は、驚きと新鮮さを覚える。
同社は、2001年に「経皮送達システム」(TTS)の基礎研究を行う京都薬科大発ベンチャーとして起業した。2006年に会社名をコスメディ製薬に変更し、インフルエンザワクチンやインスリンなど高分子薬剤の注射に代わる投与法についての研究を開始。
2008年には「薬」「皮膚」「浸透」の3つをキーワードにして、痛みがなく簡単・確実に薬剤を体内に取り入れるDDS(ドラッグデリバリーシステム)の新たな手法として、ヒアルロン酸を素材とした微細な針を貼るだけで簡単・安全に高分子薬剤を皮膚内にリリースできる次世代TTS-マイクロニードル技術を開発した。また、同技術を使って薬剤を体内に投与するパッチ形態の新規経皮吸収製剤とマイクロニードル化粧品を相次いで開発し上市した。
マイクロニードルは、ヒアルロン酸など水溶性高分子からなり、微細針の先端部に薬剤を含有させ薬剤を体内に投与する技術。高分子薬やペプチド、蛋白薬の持続製剤に適用。
マイクロニードル製剤の特徴は、水溶性高分子薬物の経皮伝達が可能、投与に痛みを伴わず出血しない。自己投与が可能など。
特に、同社は、皮膚本来の成分であるヒアルロン酸やコラーゲンでできた目に見えないほど超微細な針に薬剤成分を結晶化させる「溶解型マイクロニードル」の技術開発に成功した。従来、ヒアルロン酸などの高分子成分は注射注入でしか肌に入れる手段がなかったが「溶解型マイクロニードル」は、肌に貼付するだけで、皮膚内部の水分によって針そのものが溶けだし、簡単・安全に薬剤成分を皮膚内に搬送できることを実現した。世界で初めて工業的製法を確立しマイクロニードル技術を医薬品よりも短期間で製品開発できる化粧品開発へと応用し、現在までにスキンケアブランド「クオニス」、ヘアケアブランド「ファーサ」、貼るコスメ「京薬粧」などを商品化し2017年6月から通販市場中心に投入・販売している。
ヒアルロン酸マイクロニードル技術を採用したエイジングケア化粧品「クオニス」には、貼るサプリ・貼るコスメとして注目されているマイクロニードルパッチ「ダーマフィラー」(写真=目元・口元美容シート)や顔パック、シートマスク、美容液パック、美容液などをラインナップ。「ファーサ」は、ヒアルロン酸マイクロニードル技術を採用した貼る育毛剤。「京薬粧」は、貼るデイリーケアで綺麗を目指すコスメシリーズ。リフトアップマスク、スキンケアパック、コンシーラーパッチ、ネイルトリートメントシートをラインナップしている。
ともあれ、Jスタートアップの認定を受けた同社がこれを機会に今後、化粧品分野でどのように飛躍していくのか、経産省や支援企業の具体的な協力事業と成長の軌跡が注目される。
- 参考リンク
- コスメティックス株式会社