日本製紙が化粧品分野に新規参入

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2021.10.4

編集部

日本製紙が化粧品分野に新規参入した。髪の原料で木材の繊維を細かくほぐした「セルロースナノファイバー」(CNF=写真)と呼ばれるバイオマス素材を活用して商品化した洗顔料や化粧水などの化粧品を10月中旬からネット販売する。2025年度に化粧品の売り上げ規模を5億円に持っていく計画。

同社が、化粧品分野に新規参入したのは「デジタル化で紙の需要が減少し、先行きにかけても需要回復が期待できないこと。また、CNFの特性を生かして化粧品等への用途開発を進めることで、新規事業としてのメドをつける」などと判断したことによる。

CNFは、植物由来の次世代素材。木材から化学的・機械的処理により取り出したナノサイズの繊維状の物質。軽さ、強度、耐膨張性などの特徴を持つ。

CNFの種類には、木材繊維(パルプ)にTEMPO触媒を作用させ、機械的に解繊することで高い透明性や粘度が得られる「TEMPO(触媒に使う有機化合物)酸化CNF」。また、食品、化粧品等の増粘剤として使われる「カルボキシメチルセルロース」(CM化CNF) などがある。

特に、保湿クリームやサンケア、乳液などの化粧品にCM化CNFを添加することで、増粘性と感触の良さの両立、天然素材由来での乳化安定、微粒子素材の分散安定が期待できる。

同社は、すでにCNF の化粧品への応用開発と合わせて江津事業所(島根県江津市)において食品・化粧品等向けCNFの量産設備を稼働するなど供給体制を整えた。

一方、同社は、2021年6月に、セルロースナノファイバーをはじめとする新素材製品について新市場開拓など既存の事業領域を超えて新たに育成していく事業の成長を加速させる考えで、バイオマスマテリアル事業推進本部を新設した。同推進本部は、同社グループの事業構造転換加速のための中核組織として他社や研究機関などとの連携強化や既存商流を活用して新規事業を立ち上げるなどグループ横断的に活動する。

製紙業界で化粧品分野に参入しているのは、王子HDが傘下の王子木材緑化を介して参入している。

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