テラとヘリオスが提携、新たな開発パイプラインを強化

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2013.12.6

編集部

がんワクチンの樹状細胞ワクチンを開発したテラ(ジャスダック上場)と加齢黄斑変性治療の開発に取り組む株式会社ヘリオス(旧社名: 日本網膜研究所、東京都中央区)は12月5日、iPS細胞を用いたがん免疫細胞療法について共同開発することで合意し、基本契約を交わした。今度の提携は、両社の新たな開発パイプラインを強化するのが狙い。

両社は、テラが有するがん免疫細胞療法に関する技術・ノウハウとヘリオスが有するiPS細胞を臨床応用するための技術・ノウハウを融合することで、iPS細胞を用いたがん免疫細胞療法の開発や新たな創薬開発に繋げる。

テラが開発したがんワクチンの樹状細胞ワクチンは、血液に深まれる樹状細胞(体内に侵入した異物を攻撃する役割を持つリンパ球に対して、攻撃指令を与える司令塔のような細胞)を体外で大量に培養し、患者のがん組織や人工的に作製したがんの目印である物質(がん抗原)の特徴を認識させて体内に戻すことで、樹状細胞からリンパ球にがんの特徴を伝達し、そのリンパ球にがん細胞のみを狙って攻撃させる新しいがん免疫細胞療法。

現在、がん免疫細胞療法の技術・ノウハウを大学病院や全国32ヵ所の医療機関に提供。また、2013年4月に九州大学と共同で、細胞医薬品(再生医療等製品)製造のためのフィージビリティスタディを開始するなど日本初の免疫細胞医薬品「バクセル」として承認を得るための取り組みを行なっている。2014年度中にも承認申請に踏み切る方針。

臨床試験での樹状細胞ワクチンの需要が支えになって今期(2013年12月期)の業績は、上方修正し増収増益に転じる公算が強い。一方、理化学研究所認定のベンチャー企業で、今年9月に社名変更したヘリオスは、iPS細胞から網膜の外側にある1層の細胞「RPE細胞」を作製し、網膜の部位「黄斑部」に移植することで、光を受容する網膜の加齢黄斑変性治療の開発に取り組んでいる。同社は現在、株式公開の準備に入っている。

今度の提携は、現在の開発パイプラインに加えて新たな開発パイプラインの強化を狙ったものと見られる。

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