男性型脱毛症1,260万人、毛髪再生医療に期待高まる(上)

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2013.12.26

編集部

男性型脱毛症1260万人毛髪再生医療技術の研究開発を巡る動きが活発化してきた。毛髪再生医療技術は、脱毛症(写真)や薄毛に悩む患者の頭皮から採取した特定の細胞を培養し、脱毛部分に移植することで、毛包を再活性化させ、毛髪の成長を促す自家細胞移植技術。ここへきて毛髪再生医療ベンチャーや化粧品、クリニック、かつらなどの企業が参入し、熾烈な開発競争が始まった。現在、脱毛症に悩む日本人男性は、3人に1人の割合、約1,260万人にのぼると見込まれており、毛髪の再生医療に賭ける期待が高い。

毛髪を作り出す器官「毛包」は、男性ホルモンの影響で変性または自己免疫や外傷によって破壊されることで、脱毛症を引き起こすと考えられている。これまで男性ホルモンの影響を阻害する薬剤や正常な毛包を切り取り脱毛部位に移植する自己植毛技術が開発された。しかし、これらの治療技術は、全ての症例に有効ではなく毛包の数を増加させることができない。こうした背景から毛髪の再生医療が脚光を浴びているもの。

毛髪再生医療は、既存市場に投入されている育毛を促進する成分配合(合成化合物、天然抽出物など)の育毛剤開発とは違って細胞を扱う再生医療領域での治療薬、治療技術開発に特異性がある。ここへきて毛髪メカニズムの解明や毛髪再生医療技術の開発を巡る動きが活発化してきた。

毛髪再生医療に参入した株式会社毛髪クリニックリーブ21(大阪市)は、髪を作り出す組織が発達する現象「毛包分化」のメカニズム研究に取り組んでいる。再生医療や幹細胞などの研究成果を取り入れながら新規発毛促進物質の探索、毛包分化の基盤技術を進めて発毛技術の開発に繋げる。現在、神戸市の臨床研究情報センター内に研究室を開設し(2009年7月)、大阪・茨木市のリ―ブ21研究所と2元体制で、発毛技術の開発に取り組んでいる。

同社は、これまで京都産業大との共同研究で、毛包組織内の「GSK3」(阻害剤) を抑制すると毛乳頭細胞が活性化し、毛包の退縮を遅らせる効果があることを実証。ここへきて研究開発に拍車をかけるため、リ―ブ21研究所の分子生物分野で人材の投入・強化に乗り出した。

毛髪再生医療ベンチャーのフェニックスバイオ(東広島市)は、毛包の司令塔「毛乳頭細胞」が表皮性細胞に命令を出して毛法が形成される機能を利用して毛乳頭細胞をシャ―レ(ガラス製の平皿)の中で培養・増殖させて皮下に移植すると毛髪が再生することを動物実験で明らかにした。

同社が取り組む毛髪再生技術は、国からの補助金をもとに科学技術振興機構が広島大学の吉里教授研究グループへ研究を委託して研究開発を実施。これまでの研究開発成果を事業化に繋げる狙いで開発しているもの。将来、上場を目論んでおり地元地銀系ベンチャーキャピタルなどの出資を受けすでに10億円以上の資金を集めた。

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