ベンチャーが育毛・増毛剤分野に参入、商品開発、販売を強化(4)
2014.04.15
編集部
リジェンティス薬用育毛剤を化粧品メーカー通じ販売
リジェンティス株式会社(長野県岡谷市・未上場)は、医薬部外品や新規医薬品、医療機器などの開発、製造、販売を行うベンチャー企業。皮膚を修復・再生し、毛乳頭細胞の増殖などの生理機能を持つポリリン酸を配合した薬用育毛剤「ポリピュアEX」(写真)を開発した。現在、OEM受託先の化粧品メーカー(販売元)が直販、通販主体に販売している。
「ポリピュアEX」には、毛乳頭に直接、発毛指示を出して発毛を促す作用がある成分「ポリリン酸」を主体に配合しているのが特徴。ポリリン酸は、リン酸が3つ以上の直鎖状に繋がった構造(重合)をしているリン酸ポリマー(分子)で、ほとんどの生物種の細胞内、組織内に存在する。
ポリリン酸の特性は、皮膚組織の修復・再生に加えて抗菌、抗炎症、毛乳頭細胞の増殖、歯石の沈着防止などの生理効果があり、そのエビデンスは実証されている。また、毛乳頭に対する発毛指示・伝達は、発毛情報たんぱく質(FGF=繊維芽細胞増殖因子)によって行われていることが知られている。しかし、細胞の増殖や分化を促す性質を持つFGFは、不安定な物質で、発毛指示を安定化することが課題。
同社では、この生理効果を持つポリリン酸に注目し、リン酸のつながりによって細胞の再生やFGFの発毛伝達など効能・効果が違うことを発見。そこで、ポリリン酸を特徴ごとに取り出して(分割)FGFを安定化、活性化させることで、毛乳頭への伝達を助ける「分割ポリリン酸」を開発、育毛剤に応用して製品化に繋げた。すでに分割ポリリン酸を応用して開発した歯周病予防歯磨き粉なども商品化し、販売している。
同社の強みは、ポリリン酸の分子鎖長をコントロールし、分子鎖長の分割ポリリン酸を合成して特徴ある性能を発揮させることができる点にある。この強みをいかして2011年12月にアンジェスMG(東証マザーズ)の子会社アンジェス ヘルスケア サイエンスと育毛剤を含むヘアケア製品の共同開発を実施。また、同社は、ポリリン酸ナトリウムの医薬品関連製品への応用を目的に早い時期から産学官連携で研究開発に取り組んできた。
2001年度に文科省の産学官連携イノベーション創出事業費補助金を受けて「ポリリン酸ナトリウムの歯周組織再生促進機能を利用した医薬品開発」に取り組んだ。また2003年度に新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による産業技術実用化開発助成金の適用を受け歯周病にターゲットを当てた新規医療機器の開発に取り組むなど今日のポリリン酸ナトリウムの生理作用を中核とした新規技術の創出基盤を確立した。
- 参考リンク
- リジェンティス株式会社