王子製紙など育毛市場参入、コスモ石油とミルボンの共同事業見えず
2014.10.21
編集部
異分野から育毛剤市場に新規参入が相次ぐ中で、コスモ石油株式会社(東京都港区)と株式会社MILBON(ミルボン:大阪府大阪市都島区)両社による育毛剤の商品開発や事業化の具体的な姿がいまだに見えない状況だ。
異分野から育毛剤市場に名のりを上げたのは、王子製紙株式会社(東京都中央区)やサントリーホールディングス株式会社(大阪府大阪市北区)、富士フイルム株式会社(東京都港区)などの異業種組。その先鞭をつけたのは、王子製紙で5年前の2009年6月にユーカリエキス配合の女性用育毛剤「アンジュリン」を市場投入した。web中心に販売を継続展開している。
ここへきてサントリーと富士フイルムも本格参入した。サントリーは2014年7月に同社初の女性用育毛剤「フローリッチ」を通販限定で販売。子会社のサントリーウエルネス株式会社(東京都港区)が販売を担当している。
富士フイルムは「スカルプフォーカスシリーズ」(女性用:頭皮用美容液、シャンプー、コンディショナー3品目)を2014年9月に市場投入した。グリチルレチン酸を皮膚浸透させる ナノグリチルレチン酸を開発するとともに、ナノ化で浸透性を向上させた。 当面、同社の通販サイトとアンテナショップで販売。3年後に10億円の売り上げ目指す。
こうした女性用育毛剤市場を巡る新規参入と激しい市場争奪戦が続く中で、コスモ石油とミルボン両社による育毛剤の商品開発や事業化の真相がいまだに見えない。
両社は、2005年12月に発毛促進剤共同製剤化契約を締結し、共同で「5-ALA」(アミノレブリン酸=生体内に含まれる天然アミノ酸)を活用した育毛剤の研究開発に取り組んできた。その後、2008年11月に育毛剤の製造及び販売に関する共同事業を行うことで合意し、公表した。しかし、現在に至っても育毛剤開発の進捗状況や実用化のメド、事業化についての具体的なアナウンスがなく「暗礁に乗り上げた」との憶測を呼んでいるもの。
コスモ石油は、共同事業を公表した時点で「2008年にも製造承認申請(医薬部外品)を行い、承認を踏まえてミルボンが強い理美容チャネルに乗せて共同事業を始める」としていた。だが、現時点において育毛剤を実用化するまでには、まだ時間がかかる見通し。
コスモ石油は、独自開発の醗酵法で5-ALAを生産することに成功し、5-ALAと鉄を配合することで育毛に効果があることを発見し商品化と事業化を打ち出していた。