インド化粧品市場、中間層が牽引
2013.03.25
編集部
マンダム、カネボウ化粧品、ロレアル3社を含めて化粧品各社の海外事業展開で最重要市場と捉えているのがインド、インドネシア、中国などのアジア市場。爆発的な人口増加と経済成長が化粧品販売の増加に繋がっており新規参入を含めてライバル各社の激しい市場争奪戦が始まっている。
世界の化粧品各社にとって有望市場と捉えるインド化粧品市場は、2010年で23億6千万ルピー(23億1千万ドル)にのぼる。また、1人当たりの化粧品消費量は、1.8ドルと日本の195.5ドル、インドネシア7.1ドルと比べかなり下回っている。しかし、賃金上昇や化粧品に強い関心を示す女性の就業増加、中間層の購買意欲などに伴い「2014年には、200億ルピー(44億ドル)に成長する」(インド合同商工会議所)と自信を見せる。
現在、小売市場を自由化したインド市場に参入している世界の主な大手化粧品メーカーは、エイボン、バーバリー、資生堂、クリスチャンディオール、ランコム、レブロン、ロレアル、ユニリ―バ(現地法人ヒンダスタン・ユニリ―バ)など約30社にのぼる。各社とも都市に住む高級ブランド品に興味を持つ中間層以上の女性をターゲットにして売り込みに躍起となっている。現在、有名ブランドがひしめくインド化粧品市場でトップシェアの座にあるのは、ユニリ―バで、30.9%とトップ。P&Gは7.6%とユニリ―バに大きく差をつけられている。ここへきてロレアルとユニリ―バの攻防が始まった。ムンバイに研究センターを設立したロレアルは、インドの消費者に特別カスタマイズされたヘアオイルなど少量にパッケージした商品開発と販売を開始。2015年度までに取扱店を現在の60 万店から100万店に拡大する。同時に、顧客数2千万人を目指す。ユニリ―バも集中的な販促活動としてテレビ広告キャンペーンを張って対抗するなど市場争いは、さらに激化する様相となっている。
こうした中、有名ブランドがひしめくインド化粧品市場に2012年4月、アラブ首長国連盟ドバイの化粧品大手「シオンインターナショナル」が年率25%の勢いで伸びるボディスプレー市場と60億ルピーの市場を形成する香水市場を狙って新規参入した。また、現在、中国と台湾に生産拠点を設け18ヵ国で海外事業を展開するコーセーは、インド医薬品メーカー「エルダーファーマシューティカルズ」と合弁会社を設立して新規参入する。今年9月にインド・ムンバイに「コーセー・エルダー」(仮称・コーセー60%,エルダー40%の出資割合)を設立し、インド女性に特化した化粧品の開発・販売を行う計画。
インド化粧品市場は、牽引する中間層の人口が2025年に全人口の41%、5億8千万人にのぼると見られ、市場の拡大に拍車がかかるのは必至。さらに今後、新規参入組がなだれ込み、激しい争奪戦を繰り広げながら世界の中核市場に踊り出てこよう。