六君子湯、健康寿命の延長に寄与する可能性も
2016.02.12
編集部
株式会社ツムラ(東京都港区)は10日、都内で記者会見を開き、「六君子湯グレリンブロジェクト研究成果」について発表した。同プロジェクト 代表の鹿児島大学大学院 心身内科学分野 教授の乾明夫氏は「健康寿命の延長に寄与するという可能性が示唆された」と胸を張った。
六君子湯は、消化器症状やがん化学療法での食欲不振・嘔吐や術後の不定愁訴に対して使用されている医療用漢方製剤。六君子湯の組成生薬である陳皮のヘスペリディンがグレリン分泌低下を改善し、蒼朮のアトラクチロジンがグレリン受容体シグナルを増強することで、強烈な食欲抑制のセロトニン受容体に拮抗し、胃から放出されるグレリン分泌を促進、食欲を増加させる。
今回の研究では、Klotho欠損マウス(病的老化)、SAMP8マウス(病的老化)、加齢ICRマウス(正常老化)の3系統のモデルマウスを使用。病理所見によると、いずれのマウスも、視床下部活性化ミクログリアを抑制し、心筋線維の萎縮を改善した。
SAMP8マウスでは、食欲不振低下、自発運動低下、白血病の発症の低下、胃粘膜萎縮をそれぞれ改善。加齢ICRマウスでも心筋線維の萎縮の改善のほか、記憶学習を改善する所見が見られた。
これらの結果から、グレリンシグナルが改善することで健康寿命の延長につながる可能性が示唆されたと結論づけた。今回の基礎研究論文「グレリンシグナリングの増強はsirtuin1の活性化により加齢モデルマウスの寿命を延長する」は、「Molecular Psychiatry」に掲載されている。
- 参考リンク
- 株式会社ツムラ