質の高い標準化した漢方教育を
2016.03.18
編集部
第134回漢方医学フォーラム「総合診療医は、地域医療の要石~漢方医学への期待~」が10日、都内で開催され、講師の聖マリアンナ医科大学 総合診療内科 教授の松田隆秀氏は日本漢方医学教育協議会の現状に触れ、「質の高い標準化した漢方教育を根付かせることで、将来的に漢方専門医を目指す医師も結果的に増えていくのではないか」との認識を示した。
同協議会は、質の高い漢方医学教育の維持と発展を図るため、2年前に発足した組織で、80の大学で構成している。具体的な活動として、全国の大学が共有する部分を認識する基盤カリキュラムのコンセンサス作業のほか、将来、役立つ漢方のアウトカムやコンピテンシーの提示、グローバルカリキュラムに適合した基盤カリキュラムの作成などを行っている。
松田氏によると、他大学の漢方医学講座の現状を聞き取り調査した結果、漢方に関わる講師が不足していることが判明。そこで、「各大学で講師を相互派遣したり外来実習を行うことで、高いレベルで漢方医学教育の標準化を目指す」(松田氏)とした。
松田氏は今後の漢方医学教育について、「総合診療医は、5~6つの基本的な漢方薬を正しく使いこなせることが大切で、症状の分野によって婦人科系、消化器系などで各々よく使う処方に精通することが必要」と強調。併せて高齢者の複数病状に関する知識や、多剤処方への対応などの重要性にも言及した。