厚労省、自治体病院を持ち株会社に、地域創生基金創設も
2013.04.23
編集部
厚労省は、自治体の病院を新たに非営利の持ち株会社形態の新型医療法人とする統合再編計画を打ち出した。また、新型医療法人が行う医療・介護サービスについて自治体が事業計画を作成し、事業計画を審査して助成金を交付する「地域医療・包括ケア創生基金」(仮称)を創設する。厚生省は、現在の医療法を改正し、2014年度から実施に移す。
新型医療法人は、自治体が所管する病院や診療所などの医療機関をグループ化して統合再編し、持ち株会社形態の非営利法人とするもの。自治体医療機関の約割分担を明確化し、私立病院との過当競争や医師不足で経営が悪化している自治体病院の経営体質や医療サービスの供給体制を強化するのが狙い。
現在、自治体が所管する病院や診療所などの医療施設数は、全国で4578施設ある。その内、80%の施設が経常損失で赤字の状態。2012年度の累積損失は、約2兆円にのぼる。県内に複数ある自治体病院を新たに持ち株会社形態の新型医療法人とすることで、自治体病院の経営合理化・再生を進める。持ち株会社形態の新型医療法人設立と合わせて地域医療・包括ケア創生基金を創設する。
現在の交付金制度「地域医療再生基金」が2014年度で5年間(5年間の基金予算総額2350億円)の期限切れとなることから、新たな名称に変えて再スタートする。自治体が新型医療法人の行う医師の教育研修による医師の確保策や地域ヘルスケアセンターとの連携による在宅者の医療・介護サービスなどについて事業計画を作成し、厚労省が事業計画を評価した上で、自治体が創設した創生基金を経由して新型医療法人に助成金を交付する。同創生基金の交付の形態や仕組みは、現在の地域医療再生基金と同じ。
厚生省は、2つの制度について「医療法改正案に盛り込んで今秋の国会に提出し、2014年度から施行したい」(指導課)として現在、制度設計に入っている。