冷えは漢方薬で改善「まずは専門家に相談を」

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2017.10.10

編集部

神奈川県保健福祉局生活衛生部薬務課主催による第1回漢方講演会「冷えと漢方」が7日、横浜薬科大学内で開催され、講師の同大学薬学部長・教授の石毛敦氏は「冷えは医療従事者に診てもらえば治せる可能性がある。自分で漢方薬を選ぶのではなく、専門家に選んでもらうことが大切だ」と強調した。

テーマの“冷え”とは、普通の人では冷たさを感じない温度で体に不快な冷感を感じ、それが持続する状態を言う。この状態が慢性的に繰り返されることあるいは人を“冷え症(性)”と呼ぶ。冷えによる症状は様々で、例えば肩こり、頭痛、不眠、めまい、立ちくらみ、鼻炎、くしゃみ、食欲不振、吐き気、腹痛、下痢、便秘、生理不順、不妊症、腰痛、頻尿、浮腫などが挙げられる。

西洋医学においては、冷えは「性(たち)、体質」とされて積極的な治療が行われない。しかし、東洋医学では冷えは健康障害につながる恐れのある“未病”との認識のもと、積極的に治療を行う。

漢方医学では、独自の診療法である“四診”(望診、聞診、問診、切診)を使って、患者の現段階の病態を表わす“証”を決定し、その証に合わせた漢方薬を処方する。望診とは、患者を目で見た情報から体質や病態を判断するもので、目の状態、顔色、皮膚や爪などの状態を細かく診る。聞診は患者の話し方や声、咳などの音声情報を診たり、口臭、便臭、尿臭などの匂いも調べる。問診は現代医学と同様に患者から自覚症状などを聞き出し、切診では脈を取ったり、お腹を触って患者の状態を診断する。

この四診を介して、“陰陽五行”“表裏”“寒熱”“虚実”“気血水”といった漢方独自の概念から患者の証を導き出す。例えば陰陽、寒熱については、体に熱がある場合を“陽証”、逆に冷えのある場合を“陰証”という。今回のテーマである冷えのある陰証に対しては「体を温めることで治療する。同じ便秘でも温めることで治すことができる漢方薬もある」(石毛氏)ことを紹介した。

また気血水の概念から見ると、いわゆる人間のエネルギーとされる“気”が減少してしまう“気虚”になってしまうと「全身が冷える」(石毛氏)。血液と血液で運ばれる栄養の“血”に問題が起こると「局所的な冷えが出る」(同氏)。さらに“水”の流れが滞ると、その部位に水が偏在して冷えに発展してしまう。

このように冷えのメカニズムは様々なので、専門の医療従事者にまず相談し、漢方薬を処方してもらうことが重要だとの考えを示し、自己判断で漢方薬を選ばないでほしいと訴えた。

石毛氏の講演が終了した後、参加者らは同大学の薬用植物園を見学。漢方薬を構成する生薬となる原型植物を興味深そうに眺めては、疑問点などを担当者に質問していた。

参考リンク
漢方薬の基礎知識(神奈川県)
横浜薬科大学

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