日本触媒、化粧品原料分野に新規参入、20年に売上10億円目指す
2018.02.5
編集部
高吸水性樹脂とその原料であるアクリル酸事業分野で世界トップクラスの座にある化学メーカー株式会社日本触媒(大阪府大阪市・東京都千代田区、東証1部)は、美容経済新聞社の取材に応じて化粧品原料(素材)分野へ新規参入したことを明らかにした。
同社は、すでに化粧品原料の事業司令塔「化粧品事業準備室」を社内に設置し、1つのポリマーに複数の機能を持たせた高機能化粧原料の開発を進めるとともに、一部の原料についてサンプル出荷を始めた。2020年までに化粧原料の事業規模を最低10億円に持っていく計画。
日本触媒は2017年4月に策定した後半中期経営計画(2017年度から2020年度までの4年間)の中で、新規事業ターゲット分野として情報ネットワーク、ライフサイエンス、エネルギー・資源の3分野と8領域を選定し強化を図ることにした。
この内、ライフサイエンス分野では、医薬品、ヘルスケア、化粧品など成長分野へのシフトを鮮明に打ち出し、新規事業として力を入れることにした。
特に、化粧品原料については、既存事業の中で1つのポリマーの中に抗菌剤や乳化剤など複数の機能を持つマルチファンクションとして使える高機能材料が多いこと。また、化粧品市場の成長性などを勘案して化粧品原料分野に参入することを決めた。
その一環として2017年7月に化粧品原料の企画開発、販売等を統括管理する司令塔役の「化粧品事業準備室」(現在、技術者を含め5名体制)を高橋洋次郎常務直属の組織として設置。現在、同準備室は、大阪・吹田の研究所と連携を図りながら10品目程度の化粧品素材の開発を進めているほか、化粧品素材の一部についてサンプル販売を始めている。
今後、同準備室では、4月までに新たに2名の増員を図り7名体制とするほか、機能性化学品事業部やエチレンオキサイト(EO)事業部、事業創出本部研究センター化粧品プロジェクトメンバーなど広範囲の社内組織と連携を図って化粧品原料の事業化に一段と拍車をかける。
同社では、化粧品原料の事業規模を2年後の2020年までに10億円に持っていき、化粧品事業準備室から事業部組織に昇格させる方針。また、長期目標として事業規模を2025年に100億円にまで持っていく計画。
現在、化学業界各社の喫緊の課題は、新規事業の早期立ち上げによる収益改善。同社もアクリル酸(AA)および高吸水性樹脂(SAP)の収益改善を図りながら、新規事業の化粧品原料事業を収益事業に繋げられるか。これからの事業展開が注目される。