【連載】大手化粧品会社の研究㊹キレートジャパンの会社研究 ~化粧品開発に凍結真空乾燥技術や新カプセル化技術を駆使~(中)

2018.08.21

特集

編集部

キレートジャパンは、化粧品開発や幹細胞コスメ実用化等に際し、凍結真空乾燥法(フリーズドライ法)や高い浸透力を実現する新カプセル化技術「ナノソーム」など独自技術を駆使して開発にこぎつけた。
化粧品開発に応用したフリーズドライ法は、化粧成分を損なわずに凍結・乾燥させるため、温度帯、凍結時間の最適化を図り粉末状に加工して長期保存、使用する直前に水を添加するだけで、鮮度を保つ美容液を作り出せる。このため、防腐剤を使って複数の化粧成分を液体の状態で長期保存する必要がなくなり、使用する直前まで鮮度を保つことが可能となり防腐剤を一切含まない防腐剤完全無添加を実現した。
また、原料であるEGF(表皮細胞増殖因子)などの美容成分は、液体の状態ではすぐに変性してしまうこと、アルコールや防腐剤に長い間触れると有効成分が持つ肌への効果が低下するなどの問題があった。そこで、凍結乾燥状態にすることで、美容成分の変性・効果の低減を防止することを実現した。図に多層ナノソームの構造を示す。

一方、化粧成分の浸透率を高めるカプセル化技術「ナノソーム」は、特殊加工したゼラチン(素材)を生体吸収材とした「ハイドロゲル」に化粧成分をカプセル化して包み込み、ドラッグデリバリーシステム(薬物搬送システム=DDS)を使って化粧成分を角質層に届けて放出し、効率的に浸透させるもの。
新浸透技術(カプセル化技術)「ナノソーム」は、一般化している「リポソーム」と比べカプセルの安定性が高く肌中では壊れることなく角質層に留まり浸透する。また、EGF(表皮細胞増殖因子)や血管新生、創傷治癒、胚発生に関係する成長因子の一種「FGF」(線維芽細胞増殖因子)など不安定な成分も安定させて浸透するなどが特徴。
同社では、リン酸緩衝生理食塩水を希釈して滴下し、線維芽細胞増殖因子(FGF)や表皮細胞増殖因子(EGF)、表皮細胞増殖因子(KGF)などの成長因子についてヒト皮膚浸透性試験を実施。その結果、同社製品に配合した成長因子は、試験開始30分から皮膚への浸透が始まり、2時間後に顕著な浸透が図れたことを確認している。

同社は、こうしたフリーズドライ法やカプセル化技術「ナノソーム」の特徴や実証試験での効果などを前面に押し出しながらOEM・ODM事業で前面に押し出しながら受託活動を展開している。
さらに、埼玉、宮崎工場では、厳重に管理されたフリーズドライ専用のクリーンルームを新設。また、施設の空調や使用する機器には徹底した衛生管理を施し、細心の注意を払って製造している。

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