【連載】大手化粧品会社の研究(77)アビサル・ジャパンの会社研究 ~てんさい糖原料のスキンケア開発、通販市場に投入~(上)
2019.02.14
編集部
株式会社アビサル・ジャパン(北海道札幌市、社長:幟立=のぼりたて真理氏)は、健康スキンケアの製造販売やスキンケアPB商品のOEM製造委託、ベビースキン商品の販売事業等を行う化粧品メーカー。
独立開業の起源は、幟立社長が米化粧品会社にマーケティングディレクターとして在籍中に砂糖をアロマオイルでコーティングしたスキンケア「シュガースクラブ」のプロジェクトに携わった。しかし、商品化するまでに至らなかったため、事業化の権利を買い取り、帰国後の2004年5月に故郷の広島呉市でシュガースクラブの事業化を目的とした現法人を設立し、独立開業した。その後、北海道の甜菜(てんさい)糖を主原料としたスキンケアの開発と販路の拡大を目指し、本社を呉市から札幌市に移転(2009年)した。
2008年には、北海道てんさい糖を主原料とした商品開発・販売について国の認定制度「地域資源活用事業計画」に認定された。
地域資源活用事業認定は、地域の中小企業者が共通して活用することができ、地域に特徴的なものとして認識されている地域産業資源(農林水産物、生産技術、観光資源)を活用して中小企業者が商品の開発・生産、役務の提供、需要の開拓等の事業を行うことをさす。 中小企業者等が単独又は共同で、地域資源を活用して新商品・新サービスの開発・市場化を行う「地域資源活用事業計画」を作成し、その内容を国から認定を受けると補助金などの各種金融支援措置を受けることができる。
本社を札幌市に移転してから原料が北海道のてんさい糖であることをアピールするため、化粧品ブランド名をフランス語で砂糖を意味する「シュクレ」とした。また、砂糖を原料とするスキンケアを本格的に開発するため、どんな良質な砂糖を使うか、重要なポイントにして200種類もの品種を収集。比較試験した結果、北海道のてんさい糖にたどり着いた。
国内のてんさい糖の産地は北海道のみで、栽培畑や生産者、加工場の履歴がすべて確認できることや道産のてんさい糖は、世界で唯一、遺伝子組み換えがされていないなど安心安全であること。さらに、すぐれた保湿力をもつ北海道産てんさい糖は、肌の角質をやわらかくし、新陳代謝を促進すると同時にバリア機能をアップ。肌トラブルの原因といわれる乾燥にもすばやく対応することが原料として優れているとして採用した。
特に、肌に触れる時に刺激を解消するため砂糖の粒を0.25ミリ以下の微細な粒子に整えるとともに砂糖をアロマオイルでコーティングするなど独自の技術を開発。これにより、肌触りが滑らかで少しの水分になじませるだけで、汚れを落とすことを実現した。