【連載】大手化粧品会社の研究(77)アビサル・ジャパンの会社研究 ~新生児・乳幼児対応の化粧品で差別化~(下)
2019.02.15
編集部
アビサル・ジャパンの化粧品の中で、新生児や乳幼児対応の化粧品類等を開発・販売していることがユニークな点だ。
商品として、新生児の沐浴や乳幼児の入浴剤の「シュガーリングバス」をはじめ、保湿効果、気温の変化、雑菌などの外的刺激からバリアする「シュガーリングマッサージ」や「ベジタブルシャンプー」、全身から髪の毛まで使える「シュガースクワランオイル」(写真)などがある。
「シュガーリングバス」は、沐浴の時にベビーバスに10g程度を入れ、その中で全身を洗う。
「シュガーリングマッサージ」は、てんさい糖とココナツ、サフランなどの食用オイルで作られている。砂糖の保湿力と殺菌力、潤いやバリア機能を合わせ持っている。赤子や乳幼児のおむつかぶれ、あせものケアに対応する。
こうした、新生児や乳幼児対応の化粧品類の安心安全試験は、医療専門家の手によって、 2000人の赤ちゃんを対象に使用試験を実施。また、兵庫県立病院の新生児集中治療室で使用継続試験を行うなどエビデンスを実証している。
現在、同社は、オーガニックベビーベジタブルシャンプーやオーガニックシュガースクワランオイルなど6アイテムをラインナップして札幌市内の直営店でカウンセラースペースを設けて相談員がアトピー、肌のトラブルなどに対応しながら直接販売。また、東急百貨店や東急ハンズ、北海道キヨスク、エステサロン等への卸販売や全国の百貨店などでの催事販売は100%子会社で販社のベビースキンジャパンが担当している。
同社では今後、北海道産ビート糖を使った無添加スキンケアイテム「シュクレア」の販促強化や赤ちゃん用スキンケアの開発に力をいれる。
「シュクレア」の効能効果がいまだ「全国区」になっていないこと。また、「繊細な肌の赤ちゃん用スキンケア製品の開発が他社であまり行われていない」ことからさらに商品開発に力を入れるほか男性化粧品も開発する方針。
同社は、海外展開として2014 年 にシンガポール高島屋でイベント出店を行ったが、引き続きグローバル化に力を入れる考え。
ともあれ、北海道という地域に根差した事業から今後、乳幼児対応の化粧品を旗印にして国内の販路開拓による全国展開をどのように進めていくのか、需要の伸びによる差別化が期待できるだけに、具体的戦略がまたれる。