【連載】大手化粧品会社の研究(79)ローザ特殊化粧料の会社研究 ~補助金を活用して新製品開発に力~(上)
2019.02.28
編集部
自然素材の化粧品を手掛ける株式会社ローザ特殊化粧料(東京都昭島市)は2018年4月からレンタルラボ事業を開始した。同ラボ事業は、OEM受注にあたって好みのオリジナル化粧品を試作、販売したいエステサロンや個人事業者などに対して事前にヒアリングや試作希望者を対象にセミナーなどを開いて薬事法に抵触しない調合、成分などの配合法や同社独自の抽出技術「FFVST技術」(F=フルーツ、F=フラワー、V=ベジタブル、S=シーウッド・ストーン、T=トゥリー(樹木)と言った自然植物から化粧品に有効な成分の抽出技術)の説明と提案及び自社の製造設備を提供するもの。
同社は、同じ多摩地区にある檜原村や青梅市、羽村市、昭島市、立川市、日野市等から生産される野菜、果物、薬草類や各市町村の樹木から産出する間伐材等からFFVST技術を駆使してエキスを抽出し化粧品を開発している。
特に、同社は、天然素材で肌に優しい化粧品開発が強み。これら地産地消の原料を配合した化粧品開発は、国や自治体の中小企業向け新製品開発補助金・助成金を活用して開発につなげた点に特徴がみられる。
同社がこれまで新しい化粧品の開発計画等で国や自治体の補助金・助成金の交付を受けたのは
①小規模事業者活性化補助金
②キャリアアップ助成金
③中小企業庁・小規模事業者持続化補助金
④東京都・展示会等出展支援助成事業
⑤東京都地域中小企業応援ファンド助成事業
⑥東京都中小企業振興公社・受注開拓緊急支援助成事業
⑦東京都 新・展示会等出展支援助成事業
⑧経済産業省・平成29年度補正予算 ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金
⑨東京都中小企業振興公社「平成30年度・TOKYOイチオシ応援事業」など9補助事業にのぼる。いずれの補助事業は、新製品開発経費や販路開拓費の半分または3分の2を補助するもの。
中小企業にとっては、開発・販売経費の削減につながることから応募意欲は強い。また、補助金の適用を受けた中小企業にとってベンチャーキャピタルやファンド等から投資・出資を受ける機会もあることや販路の拡大に伴う新たな取引が生まれる可能性が強い。
小規模事業者である同社にとって補助金をうまく利用してものつくりを推進する動きは、多くのステークホルダーから注目を集めている。