【連載】化粧特許と知的財産権⑮ナノエッグ、独自開発成分を配合した化粧品開発相次ぐ(中)

2019.08.1

特集

編集部

ナノエッグは、基盤技術「多価金属無機塩被覆レチノイン酸ナノ粒子の製造方法および製造方法により得られたナノ粒子法」が特許として成立したことを契機に知的財産戦略を加速させ、化粧品原料ナノキューブ(肌本来の持つ自己治癒力・スキンホメオスタシスを引き出す皮膚再生効果を持つ)の販売と並行して化粧品の新規開発に拍車をかけた。
主な化粧品開発の変遷を見ると、第一弾として自社初のスキンケア化粧品として「マリアンナ」を商品化し2007年7月に市場に投入した。これを皮切りに2008年3月に江崎グリコ株式会社(大阪府大阪市)との共同開発による「α-アルブチン」配合の美白化粧品「マリアンナ」シリーズを商品化し市場に投入した。

江崎グリコと共同開発した「α-アルブチン」は、シミ・ソバカス・日焼けの原因になるメラニンの生成を強力に抑制する特徴をもつ。実験で、メラニン生成のキーとなる酵素「チロシナーゼ」に対する阻害効果を比較すると「α-アルブチン」は、β-アルブチンよりも10倍以上強力に阻害することが検証で確認されている。
これを特殊技術「ナノキューブ」によって水溶性の低分子である「α-アルブチン」の効率的な経皮吸収を実現した。

江崎グリコとは、2010年12月に共同開発した「α-リポエッグ」を配合したエイジング化粧品「豊麗」(ほうれい線対策美容液)を商品化し販売した。
「α-リポエッグ」は、α-リポ酸をナノカプセル化したもの。カプセル化したα-リポ酸は、高い経皮吸収性や徐放性、リポ酸の安定性向上が図れる特徴がある。また、カプセル化したことで、皮膚の各細胞に対し抗酸化効果以外の薬理効果、例えばケラチノサイト増殖・分化増強作用などをみいだしている。その結果、光老化によるシワ・表情ジワの改善効果や加齢によるたるみが原因と言われるほうれい線の顕在化等に対する改善効果があることが臨床研究で実証されている。

2013年2月には、ヘアケア化粧品「キララ」シリーズを開発・販売。2016年6月には、独自開発成分「Gk2egg」配合の薬用育毛剤「ふわり」(医薬部外品)を商品化し販売した。
「Gk2egg」成分は、コラーゲンを分解する酵素の働きを抑える成分「グリチルリチン酸ジカリウム」をナノカプセル化して配合した美肌成分。

2017年7月には、美白化粧品「薬用シロエホワイト」シリーズを2018年6月に敏感肌用スキンケア「メディコル」シリーズを販売。直近の2019年2月には「豊麗EXプレミアム」シリーズをリニュアール販売した。
このような新規化粧品の開発は、基盤技術となる化合物の組み合わせだけでも、知的財産やノウハウとして十分蓄積している証拠といえるだろう。

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