【連載】化粧品・美容各社の業績と企業買収⑨化粧品・美容各社の業績と企業買収 ~花王、新グローバルポートフォリオ策定し化粧ブランドを強化~(上)

2019.10.31

特集

編集部

花王株式会社(東京都中央区)は、1887年(明治20年)創業の大手生活用品メーカー。現在、カウンセリング化粧品等を手掛ける「化粧品事業」とスキンケア商品「ビオレ」やシャンプー、リンス等を手掛ける「スキンケア・ヘアケア事業」、それに、紙おむつ等の事業を行う「ヒューマンヘルスケア事業」、衣料用洗剤等の事業を行う「ファブリック&ホームケア事業」を総評してコンシューマプロダクツ事業としている。また、油脂や機能性材料等の工業製品をケミカル事業が行なっている。

同社は、2018年5月に新グローバルポートフォリオを策定し、ブランドの最適化やマーケティングの強化等が奏功し、前期(2018年12月期)におけるコンシューマプロダクツ事業の売上高は、前期比1.4%増の1兆2329億円に上った。
コンシューマプロダクツ事業の売上高のうち、化粧品事業の売上高は、前期比5%増の2796億円、スキンケア・ヘアケア事業が前期比2.6%増の3414億円となっており、2事業合わせた売上高は6210億円に上る。この6000億円強の売上げが化粧品業界で株式会社資生堂(東京都中央区)に次ぐ売り上げ規模となっている。

同社が策定した新グローバルポートフォリオは、花王グループの化粧品事業における新たな成長戦略の柱として打ち出したもの。
株式会社カネボウ化粧品(東京都中央区)をはじめとするグループ内の5つの化粧品事業体が展開するブランド全体でポートフォリオを最適化し、ブランドマネジメントを強化する狙い。

新グローバルポートフォリオでは、グローバル戦略ブランドとして新ブランドを含む11のブランドを選定、花王グループならではの確かなエビデンスと五感に訴える感性美を融合させることで、個々のブランドを磨き上げていく。なかでもプレステージ領域に注力し、カネボウ化粧品が欧州で展開す「SENSAI」のグローバル化を加速する。
戦略ブランドを個性が際立つブランド群に磨き上げることで、日本を含むアジア・欧州における成長を加速させる。

今期(2019年12月期)の化粧品事業は、重点戦略ブランドを強化するとともに独自の技術を生かした商品の高付加価値化に取り組む。同時に、Eコマースやデジタルコミュニケーションを通じた旅行者向けマーケティングのチャネルを強化してポートフォリオを構築していく。また、好調な中国を中心にアジアでの強化に努める。一連の施策で化粧品事業の売上高は、前期比4.5%増の2900億円を見込む。
スキンケア・ヘアケア事業は、スキンケア製品についてミクロレベルの隙間まで塗りむらを防ぐUVケア商品をビオレから販売。また、欧米事業では、消費者ニーズや購買行動の変化に合わせたマーケティング活動や売り方改革を推進する。

こうした施策によって同事業の売上高を前期比5.7%増の3570億円と予想。2事業合わせた売上高は、6470億円に上る見通し。

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