【連載】この中小化粧品会社に注目⑬ハイム化粧品(下)~生協向けから一般市場に販路を転換~

2020.09.24

特集

編集部

ハイム化粧品は、EBOで社員が経営を引き継いだ翌年の2008年に生活クラブ事業連合生協連合会に化粧品を新規納入するなど販路を開拓。また、2010年に新商品・新技術の開発と販売に関わる事業計画が中小企業庁推進の「経営革新法の事業認定」を受けた。さらに、2014年には中小企業庁の「ものづくり・商業・サービス革新事業」の補助金交付を受けるなど事業資金に関わる調達に力をいれた。
中でも資金の使い道としてそれまで売り上げの約6割を占めていた生協向けから一般市場向け市場へ転換を図ること。同時に、ニーズが強い無添加化粧品を開発して一般市場で販売するなどの新たな戦略を講じた。

一般市場向け化粧品の第一段として開発し商品化したのが無添加化粧品「クレヴァンエイジングケア」シリーズである。同化粧品は「肌にとって疑わしい成分は一切配合しない」という原則を定めて開発したもの。
販売について同社は「もっとカスタマーに知ってもらうことで、通販や特約店などに出していきたい」と説く。
現在では、スキンケアや日焼け止めなどの化粧品を約94品目を商品化。また、全国に約111店に上る特約店ネットワークを構築するとともに大手ドラッグストアや日曜雑貨卸ルート等の新しいチャネルを実現し、パーソナルユースに力を入れている。

ところで、同社の特徴の1つに倒産した教訓を社是「7つの約束」として定め、実践している点に特異性がみられる。
7つの約束とは
①安全と安心のために,全商品の全成分とその割合,配合目的を表示し成分を公開する
②製造年月を表示するなど情報を公開
③基礎化粧品は、合成着色料を無添加するなどこだわり処方
④天然由来成分の効果を生かす処方の研究
⑤逆浸透膜とイオン交換純水装置で処理を施した水を使用
⑥無駄なコストを省き,価格に反映
⑦自社で研究開発から販売までを行う一貫した製品作りなど。

ともあれ、2007年8月に化粧品販売会社「ハイム」(1961年設立)と化粧品製造会社「ハイム化学」2社の事業を譲受して今年8月で13年が経過した。
2社の事業を譲受して最初の業績(2008年7月)は、2億3000万円だったが現在では通販、特約店、ドラッグストア、日用雑貨卸など多チャンネル化が奏功して業績も伸長していると見込まれている。

中小企業の事業承継が全国小保で吹き上がる中で、EBO実践が約10年強を経過したとはいえ、社員による経営の承継、事業展開の方途などは今もって一考に値する。

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