「世界観」こそ長く愛されるブランドの要

【インターンシッププログラム】REAL VOICE「世界観」こそ長く愛されるブランドの要

特集

長谷川 拓也,長谷川 拓也

今回は、伊藤忠食品株式会社 広域第三営業本部 コスメチーム主任の枝川和佳子さんに、伊藤忠食品発化粧品ブランド「Beaute de Sae(ボーテ・デュ・サエ)」の広報活動についてお伺いしました。

「新事業の立ち上げ」

-化粧品事業へ参入されたのは、どういった経緯からなのでしょうか。

伊藤忠Beaute de Sae_枝川和佳子さん当社は元々酒類・加工食品の卸をしている会社です。食品業界の傾向として、少子高齢化の影響で市場が縮小しているので、既存の事業のみを続けていてもさらなる成長は難しいという状況でした。そこで新事業を立ち上げる必要がありました。また当社は百貨店の食品売り場に食品を供給しているのですが、他の売り場へも進出したいという思いがあり、「だったら自社で化粧品を作ってしまおう」と考え、化粧品事業がスタートしました。そうは言いましても、社員の誰もが化粧品を作るというDNAを持っていなかったので、ブレンダーの木村小枝(きむら さえ)にプロデューサーとして入社していただき、一緒に作り始めたのがきっかけです。

当ブランド「ボーテ・デュ・サエ」は私と木村の2人で営業・製造・物流など全ての業務を行っており、伊藤忠食品が販売元だということを前面に出してはいません。やはりボーテ・デュ・サエというブランドで勝負しなければ本当のファンは付いてくれないので、この香りとこの保湿具合と私たちを知ってもらい、好きになっていただくというのが理想的だと思っています。。

-食品を扱う会社の「安心・安全」というイメージをあえて使わなかったということでしょうか。

そうですね。安心・安全は当たり前の時代になっていますので、そこはあえて謳わなくてもいいのだと思います。ターゲットである30-50代の働く女性のライフスタイルをもっと豊かにしていきたいという思いがより大きいです。最近はバリバリ仕事をして、遊んで、美味しいものを食べて、充実した生活を送りたいと考えている女性の方がたくさんいらっしゃるので、そういった現代女性たちを「香りでもっと素敵に、もっと幸せにしたい」という願いがこのブランドにはあります。そして、「香りと保湿」「30代から50代の女性がターゲット」という点は絶対にぶれてはいけない軸だと思いまして、その方たちが何を求めていて、どんな生活を送っているのかということは常にアンテナを高くして情報収集しています。私も彼女たちと同じターゲット層ですので、どんなことに喜びを感じるか、という自分の気持ちに正直に生きていかねばと思っています。
当ブランドは実店舗を持っていないので、写真でしか世界観を伝える術がありません。ですので写真にはできる限りこだわりを持っており、こういう部屋に置いてほしいなとか、こういうシーンで使ってほしいなと言った風に、お客様にイメージを共感していただけるように努めております。

Beaute de Sae_Xmas_MAIN_WEB

「いつまでも愛されるブランドを目指して」

-香りをお客様に伝えることってすごく難しいと思うのですが、どのような取り組みをされているのでしょうか?

会員制サンプルサイトの会社があって、お客様が1,500円払うと、毎月自動的にスキンケアや石鹸等が入っているボックスが送られてきます。そのボックスは何が入っているか分からず玉手箱みたいなのですが、そこには「新しいブランドに出会おう」というコンセプトがあります。日本に2年くらい前に入ってきたサービスです。私たちはそこに1年程前から参画していまして、そこで当ブランドを広め、口コミをしてもらうという狙いがあります。この会員制サンプルサイトの中にある口コミサイトから、化粧品関連の会員制口コミサイトさんに口コミを誘導してもらうような施策を、サンプルサイトの運営会社さんにお願いするといった取り組みをしています。口コミはすごく重要で、悪い商品だったらすぐに良くない評判が広まってしまうこともありますが、ブランドとしてマイナスの評判も意味のあることだと思っていて、商品を改良する際の参考にもなるので大事にしています。

-ブランドができて4年目となりますが、最初の頃と現在とで広報活動は変わりましたか?

立ち上げ時は当然ながらほとんどのお客様が当ブランドを知らなかったので、イベントをたくさん開き、同時にサンプルも配ることで、私たちの香りを知って頂く努力をしてきました。現在はある程度認知されていますので、販売につなげる一環としてフェイスブックなどSNSを用いた広報活動を行っています。

-SNSの管理はとても大変だと思いますが。

SNSはずっと始めたいと思っていました。ただ色々なブランドさんに聞いたところ、フェイスブックは担当者が24時間態勢で対応していると知って、私たちは2人しかいないですし、始めたら後戻りできないということもあり、1年くらい悩みました。ですが、やらないと伝える術がなくなるし、冊子だけでは伝えられる限界があるので、「やらなきゃだめだ!」と思い、始めました。現在は私が24時間態勢で昼夜問わず返信しています。やはり放置するとそれがクレームになったりもしますし、何より誠意をもって伝えていくことはすごく大事だと思います。なるべく早く1、2時間以内に返信できるように心がけています。

-何か反響はありましたか?

「あの商品はいつ発売ですか?」とか「この商品はどのお店に行ったらありますか?」とかが多いですかね。一応ウェブサイトにも載っているのですが(笑)。でもお客様との距離は縮めることができたと思います。「フェイスブック見ました!」と言って、お店に遊びに来てくださるお客様もいらっしゃいますので、それはとても嬉しいことです。

-最初はサンプリング、次はSNSと展開してきて、次はどのようなことをやろうと思っていますか?

Beaute de Sae_イメージオイル3点今それをまさに2人で話しています。ただ、テレビやラジオといったマスメディアは少し違うのかな、と思っています。売れるのはすごく早いと思うのですが、落ちるのもすごく早いので。流行に流されない、長く愛していただけるブランドでありたいと思っております。当ブランドだけを使ってもらうのではなく、例えば、女の人ってボディミルクを5、6種類持っていると思うのですが、常にそのうちの1つに入れておいていただきたい。そのためにも、これからも雑誌への掲載やイベントの開催には注力していきます。

今回は、伊藤忠食品株式会社 広域第三営業本部 コスメチーム主任の枝川和佳子さんにお話を伺いました。商品がどのようなメディアを介して消費者に伝わるか、ということまで考えるからこそ、ブランドの世界観が守れるのであり、ターゲットの「お気に入り」になるのだと分かりました。枝川さん、ご協力ありがとうございました。

お問い合わせ
Beaute de Sae(ボーテ・デュ・サエ)

 

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