化粧品OEM・ODM各社の「ユーザーニーズに対応するわが社の事業展開」【14】キレートジャパン、防腐剤不用コスメやカプセル化技術を開発(上)
2014.09.18
編集部
株式会社キレートジャパン(東京都豊島区、社長佐藤美次氏=写真)は、佐藤社長が食品関連事業の経営から一大発起して化粧品のOEM事業を立ち上げた新興企業。法人設立は、2011年1月と歴史は浅いものの、佐藤社長が前職の食品関連会社で永年培った凍結真空乾燥技術(フリーズドライ製法)を化粧品に応用して防腐剤不用のフリーズドライコスメを開発。また、化粧成分を角質層に放出して滞留させ、浸透率を高めたカプセル化技術「ナノソーム」を開発するなど技術開発型のベンチャーとして異彩を放つ。
同社が化粧品開発に応用したフリーズドライ製法は、化粧成分を損なわずに凍結・乾燥させるため、温度帯、凍結時間の最適化を図り粉末状に加工して長期保存、使用する直前に水を添加するだけで、鮮度を保つ美容液を作り出せる。
このため、防腐剤を使って複数の化粧成分を液体の状態で長期保存する必要がなくなり、防腐剤を一切使用しない防腐剤完全無添加のフリーズドライコスメを実現した。食品加工に使われるフリーズドライ製法を化粧品開発に応用し、防腐剤完全無添加を実現したのは珍しいケース。
化粧成分の浸透率を高めるカプセル化技術「ナノソーム」は、特殊加工したゼラチン(素材)を生体吸収材とした「ハイドロゲル」に化粧成分をカプセル化して包み込み、ドラッグデリバリーシステム(薬物搬送システム=DDS)を使って化粧成分を角質層に届けて放出し、浸透させるもの。
同社は、リン酸緩衝生理食塩水を希釈して滴下し、線維芽細胞増殖因子(FGF)や表皮細胞増殖因子(EGF)、表皮細胞増殖因子(KGF)などの成長因子についてヒト皮膚浸透性試験行なった。その結果、同社製品に配合した成長因子は、試験開始30分から皮膚への浸透が始まり、2時間後に顕著な浸透が確認されている。下に各成長因子のヒト皮膚浸透性試験のエビデンスを示す。
「当社は、スキンケア、ボディケア、ヘアケアなどの化粧品OEMメーカーとして企画・開発から製造・販売、フォローアップまでトータルサポートしている。現在、大学との共同研究・開発に力を入れており歯周病予防の歯磨きも1つの開発テーマとなっている。研究成果を化粧品・医薬部外品などの開発にいち早く応用して実用化することで、新しいマ―ケットの創造を目指す」(佐藤社長)とベンチャー魂を鼓舞する。
こうした一連の技術開発を前面に押し出しながら引き続きフリーズドライコスメをOEM受託先企業に供給して行く。また、自社オリジナルブランドのフリーズドライコスメを開発して来年早々にも市場投入する方針。
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