【連載】化粧品各社のイノベーション研究【20】ウテナ② ~シートマスク訪日外国人が指定買い、生産間に合わず~
2016.04.12
編集部
ウテナは現在、スキンケア、ヘアケア商品など全部で123品目(アイテム)を国内市場に投入している。この中で現在、最も期待を寄せて大型商品として育成を図っているのが、ヘアスタイリング剤「マトメ―ジュ」とシートマスクの「プレミアムプレサ」。
「マトメ―ジュ」は、まとめ髪のおくれ毛やあほ毛をピタッとキープ(写真)するスティック状ワックス。男性整髪料チックを女性用にアレンジしたアイディア商品。
3種のつやめき成分(ツバキ種子油、アルガニアスピノサ核油、バオバブ種子油)とベタつき防止パウダーなどを配合。
①スティック状なので、仕上げに直接なでつけるだけ
②外出先でも手を汚さない
③ポーチにぴったりなコンパクトサイズで、持ち運びも簡単など が特徴。
これまでまとめ髪に欠かせないキャビンアテンダントやバレリーナなど、プロご用達のアイテムになっている。
同社は「マトメ―ジュ」について、「ここへきて就職活動の学生向けアイテムとして訴求力を図るため、ウエブサイトにマトメ―ジュ就活支援プロジェクトを開設するなどして拡販を図っている」という。
また、「プレミアムプレサ」は、訪日外国人のお土産として指定買いされており「インパウンド需要を狙って販促活動を強化しており現在、生産が追い付かない状態」と嬉しい悲鳴を上げる。
こうしたスキンケア、ヘアメイクなどのセルフ化粧品の営業活動は、営業部隊が取引先である代理店や全国のドラッグストア、総合スーパーなど約2万5000店にのぼる販売店に対して商品の売り込みを展開。同時に、売場で実際に商品を取り扱ってもらうため、商品知識、市場データなどを活かして、販売店店舗の売り場提案などに取り組んでいる。
同社の営業面での特徴は、提案営業を活発に行っていることである。取引先である販売代理店やドラッグストア、大型スーパーなどに対して、化粧品市場の状況及び今後の流れ、他社商品動向、販売店特性(顧客層、エリア特性等)をプレゼンしながら、消費者にとっての自社商品の役割・効果的な売場・販売店の課題解決という提案型営業を積極的に行っている。
同社は、提案型の営業について「取引先からの信頼が大きい。特に、提案営業は、数値的に表れるため、取引先にとっても関心が高く心強い存在となっている」という。引き続き、良好な関係を構築しながら提案営業に力を入れて行く方針。
業務用化粧品やアメニティの製造・販売は、関連会社として1988年3月に設立したウテナ商事株式会社が担当している。ボディソープやシャンプーなどを詰め替え容器に入れて使うタイプの業務用化粧品をはじめ、グッズ、ノベルティ商品などをホテル、温浴、介護施設、スポーツクラブなど幅広い分野に販売している。
海外事業の取り組みとして、現在、東南アジアに代理店を置き日本からの商品輸出、販促企画の提案・販売、市場調査、展示会の出品などを行っている。「マトメ―ジュ」やシートマスク「プレミアムプレサ」を中心に中国、香港、台湾で販売を強化。特に、「マトメ―ジュ」を20代女性の便利アイテムとして認知度を図っている。海外の拠点開設はこれからの状態。