【連載】化粧品各社のイノベーション研究【23】第一三共ヘルスケア① ~シミ有効成分トラネキサム酸配合の肝斑改善薬を開発~
2016.05.11
編集部
日焼けや加齢によるシミ、そばかす、肝斑、摩擦による色素沈着など、女性にとってシミは化粧を行う上で、重要な関心事の一つになっている。
第一三共ヘルスケア株式会社(東京都中央区)は、親会社の第一三共株式会社(東京都中央区、三共と第一製薬合併)の一角を占める第一製薬が、人工合成されたアミノ酸「トラネキサム酸」を開発。ビタミンCと組み合わせて製剤化を図り、抗炎症・抗アレルギー効果や湿疹・じんましんの治療、出血を止めるなどの効果があることを臨床試験で実証した。
2007年には、国内初のトラネキサム酸を配合したシミ・肝斑改善薬「トランシーノ」(OTC・一般用医薬品=内服薬)の製造承認をうけ市場に投入した。
紫外線を浴びるとシミの素であるメラニンを作りだす細胞「メラノサイト」の周りにある肌細胞から、メラニンを作らせる情報が伝達される。
シミ・美肌有効成分のトラネキサム酸は、その情報の中に含まれるシミ発生物質「プロスタグランジン」などをブロックし、メラニンの生成を抑えてシミ、そばかすを防ぐ作用がある。
特に、肝斑によるシミ発症の要因としてメラノサイトの活性化がある。その原因のひとつとして肝斑の発症に影響があると考えられるのが、タンパク質分解酵素「プラスミン」の存在。
トラネキサム酸は抗プラスミン作用を持ち、メラニンが作られる前の段階でメラノサイトの活性化をブロックし、肝斑の発症を抑える。いわば、シミができる初期の段階からシミが作られるのを防ぐ特徴がある。
同社は、トラネキサム酸配合の肝斑によるシミ改善薬「トランシーノⅡ」の効果について、キントーン・カラーケースでの色素沈着改善度の試験を行った。
試験は、1日2回、8週間の服用で肝斑に対しての改善率を見たもの。評価時期別色素沈着改善度は、2週後、4週後、6週後、8週後での改善率が、2週後、4週後、6週後、8週後で62.6%、73.7%、85.2%と推移。また、著明改善例などが2週後から確認でき、8週後まで経時的に上昇した。