【連載】化粧品各社のイノベーション研究【27】アイビー化粧品① ~全国228社の販売会社に卸販売、販売会社のサロン展開を支援~

2016.06.6

特集

編集部

株式会社アイビー化粧品(東京都港区)は1977年10月に創業し、1996年4月にジャスダック市場に上場した。2017年10月には、創業満40年を迎える。
同社の化粧品事業は、販売代理店契約を結んでいる全国の販売会社に対して卸販売を中心に事業を展開。顧客への直接販売は、販売会社とその傘下にある営業所及び営業所に属する販売員のビューティマネージャー(BM)、アイビーメイツ(IM)を通じて、会員を含む顧客に
対して販売する構図(下図・化粧品の販売形態)となっている点に大きな特徴が見られる。
無題

無題現在、同社が卸販売している販売会社数は、228社(2016年3月31日現在)にのぼる。また、販売会社が組織化して展開する営業所数は、5264ヵ所(同)、BM数2万7607人、IM数23万4503人となっている(表・3年間の組織数推移)。

こうした取引・販売形態の中で同社の化粧品販売(売上高)は、販売会社等へ出荷した金額で占める。したがって販売会社の増減や1販売会社当たりの購入量の増減によって、収益に大きく影響する。また、同社と販売会社との間には、資本関係及び人的関係はない。しかし、同社は、販売会社に対して訪問販売に関わる販売支援活動を行うなど、強固な信頼関係、補完関係が構築されている。
その代表的な信頼関係を象徴する事例として、販売会社や営業所などが展開するサロン開設の推進がある。「アルテミスサロン」と名付けたサロンの多店舗展開は、訪問販売を補完する役割と位置付けて打ち出したもので、販売会社の売り上げや顧客獲得数を増やすのが狙い。
サロン内には、肌状態を測定する機器や施術用ベッド、カウンセリングスペースなどを備えている。
サロンの展開に当たって同社は、東京銀座に直営サロン「アルテミスサロン銀座」をオープンしてモデル店舗とした。販売会社がサロン開設を行う場合、同社は研修プログラムで販売員教育を支援するほか、サロン開設費用の一部を援助する。また、専門スタッフが店内で顧客の悩みを聞き取り、最適なスキンケアの方法を提案する。有料のフェイシャルトリートメントやボディートリートメントも行う。 店内に全てのスキンケア製品やメーキャップ製品を展示し、消費者に体験してもらうことで、新規顧客の獲得につなげる。
販売会社や営業所が開設・運営しているアルテミスサロン店舗数(アルテミスザ・ショップとアルテミスザ・ルーム)は、2016年3月末で83店舗にのぼる。2017年3月までに100店に持っていく計画。

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