【連載】ヘルスケアビジネスの新潮流(2)ヘルスケアビジネスの新潮流

2013.04.26

特集

編集部

すき家展開のゼンショ―も参入、NTTなど地域限定で展開

外食チェーンを展開するゼンショ―は、遺伝子栄養情報に基づくテーラーメイドの食スタイル改善サービスに乗り出した。遺伝子検査サ-ビスを行うヘルスケア&ビューティパートナ―及びヘルスケア&ビューティパートナ―大阪と共同出資して設立(2012年5月)したゲノフが全国レベルで事業展開する。
食スタイル改善サービス事業は、クリニックや栄養管理士、調剤薬局専門店などと提携し肥満関連遺伝子などの検査とウエブコンテンツ「遺伝子栄養分析プログラム」をセットで事業展開するもの。

同社のサービス提供法は、クリニックやドラッグストア、調剤薬局などと業務提携し、肥満や生活習慣病、糖尿病などの患者に対して血液、口腔内粘膜から採取したサンプルを遺伝子検査機関に送付して遺伝子検査を行う。遺伝子の検査結果は、2~3週間後に検査を依頼した本人に結果が報告され、ウエブからも検査結果を見る事ができる。また、分析結果をもとに同社と業務提携したクリニックや調剤薬局に管理栄養士を派遣し、クリニックと管理栄養士とが遺伝子栄養分析プログラムに基づいて健康・食生活のアドバイスを行うもの。遺伝子検査と栄養分析のセット価格は、7350円。同時に、検査依頼者に生活スタイルに合わせた食材や弁当などの物販を販売して収益に繋げる。

同社では現在、東海大東京病院の抗加齢ドッグと同プログラムをリンクさせた新モデルを検証しているほか管理栄養士育成Eラーニングを構築して遺伝子栄養学を取得する管理栄養士の育成を図っている。また、遺伝子の検証結果をよりエビデンスの高い物とするため、東大や産総研と提携して新遺伝子検査の創出に取り組んでいる。今後、スマートフォンへの対応や情報を共有するソーシャルネットサービスを促進するため、新たなパートナ―と組んで健康診断、福利厚生、特定保健など幅広いサービスを展開して行く考え。

一方、地域に限定してヘルスケアサービス事業を展開する企業も目立つ。給食事業を展開するワタキューグループの日清医療食品(ジャスダック上場)は、茨城県内で在宅療養者向け治療食の配食と栄養支援サービスに乗り出した。茨城県内の病院や社会施設、保育施設などに食事、食育、宅配サービスを行うもの。同業他社が進出していない商圏にターゲットを当て需要の掘り起こしを狙う。
同社は、2012年11月に社会福祉事業を行うアイコ―メディカル(愛知県)を株式交換で子会社とし、地域の病院、老健、特養施設をターゲットに給食事業でシェア33%を目指す。

千葉薬品は、生活習慣病の高齢者や要介護者を対象としたヘルスケアサービスを千葉県内で展開するため、自治体、医療・介護事業者と民間事業者とのマッチングやコーディネートなどを行うインフラサービス創出事業を開始。NTTデータは、長野・上田、札幌などで健康拠点として薬局を活用した地域住民健康管理サービスに乗り出した。ニチイ学館は、京都、福島で音声認識システムを活用した介護業務の効率化事業に取り組んでいる。

現在、政府は、医療・介護などのヘルスケア分野を新成長戦略に位置付け民間事業者と医療・介護・保健機関などが連携してリハビリ、配食、在宅見守りなどのサービスを全国、地域レベル立ち上げる地域ヘルスケア構築推進事業(補助事業)を展開。成長市場を見越してヘルスケア分野に参入する民間事業者が急増し、すでに約300社(IT含む)がなだれ込んだ。今後、全国、地域レベルで給食、宅配、スポーツ施設、農商工連携事業者などがヘルスケア事業に参入する見通しで、さらに新規参入組が増えるのは必至の状況。

経産省の調査では、すでに国内のヘルスケア市場は、医療・健康機器を含めて1兆100億円(2012年度)に達した。今後、高齢化社会の中で健康志向が一段と進展しこれに合わせた多様なサービス事業が創出されることからヘルスケア市場は、2015年度に1兆1000億円に拡大する見通し。

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