【連載】化粧品・美容関連ベンチャー企業の成長軌跡【2】ランクアップ② ~成長・発展の要因・顧客共感の商品開発と誰よりも早く新市場参入~

2016.07.12

特集

編集部

ランクアップが「累計販売数600万本に達するロングセラーヒット商品の誕生」や「10年連続の売上増加」、「累計顧客数100万人達成」など事業を成長軌道に乗せた1つの要因として、ユーザーが真に欲しい顧客共感の商品開発と、いち早く市場に参入しシェアを獲得するマーケットオリエンテッドに根差している点にある。

同社の主軸商品「ホットクレンジングゲル」の開発は、「自分の肌を変えたい」「肌にいい化粧品を使いたい」という理念のもとに、「美容液でクレンジングをすれば肌は荒れない」という発想から生み出した。
同社は、ホットクレンジングゲルの開発について、「化粧品開発の知識がない素人だからこそ思いついた発想。美容液でクレンジングするという常識にとらわれない新しい発想が多くの顧客から共感を呼んだ」という。また、ホットクレンジングゲルは、肌にのせると温かくなる温感ゲルが毛穴を開き、温感ゲルのロールアップ効果で、毛穴汚れを取ることも人気に火をつけた。
特に、2006年の発売当時は、“ホットクレンジング”という温感効果のあるメイク落としがほとんどなく、他社に先駆けて商品化して市場に参入したことで、新たな「ホットクレンジング市場」を創出し、他社が新市場に参入する牽引役となった。
いわば、他社に先駆けて「顧客と共感できる商品を開発」し、いち早く市場に参入してたちどころにシェアを獲得する「マーケットオリエンテッド」のビジネス指向が、今日の成長・発展に繋げた原動力になっている。

多くの企業は、商品開発において顧客のニーズを商品開発に反映させるため、マーケティング調査は欠かせない。しかし、同社は、マーケティングに頼った商品開発には、少なくとも力点を置いていない。
同社では、製品開発のポリシーについて「偏った発想かも知れないが、自分が心から欲しいものしか作らないことを基本にしている。売れそうだから、流行っているからとの考えで製品をつくるよりも、嘘がない、妥協がない製品をつくることで、差別化した製品開発が可能となり新しい市場の創出に繋がる」と説く。

また、同社は、コールセンターを顧客相談室に変貌を遂げて行く考え。コールセンター業務を単に注文を受けるだけの業務から、顧客が安心して化粧品を買い求めるコンシェルジュの役割に変えて行く方針。

ベンチャー企業にとって重要なことは、独創的な新商品を開発していち早く市場に参入して市場のシェアを獲得することが事業の成長発展に繋がる。
その意味で、同社の化粧品事業は、顧客が共感する商品開発を行い、マーケットが立ち上がっていない市場を自らが新たに創り出しながらシェアを獲得するところにベンチャー企業たるゆえんがある。しかし、10年を経過して事業のスピード感は、さほど感じられない。その一方で、確実に売れる商品を開発して収益の増加に繋げる堅実さに経営の手堅さが見られる。

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