【連載】化粧品・美容関連ベンチャー企業の成長軌跡【8】ネオナチュラル① ~自然派化粧品の原料を自ら栽培し商品開発~
2016.08.4
編集部
自然派化粧品メーカーの「株式会社ネオナチュラル」(愛知県名古屋市、社長高柳昌博氏)は、スキンケア製品の原料を自社の有機農場「ネオナチュラル母袋(もたい)有機農場」(岐阜県郡上市大和町)で栽培する一方、ヘチマ農家と提携してヘチマ(写真)を化粧品の原料に使うなど、自然派化粧品開発型ベンチャーとして異彩を放っている。
母袋有機農場は、5ヘクタールの耕作放棄地を利用してラベンダー、カモミールなどのハーブ約20種とニンニクなどの農産物を栽培している。2013年10月には、有機JAS認証(日本オーガニック&ナチュラルフーズ協会)を取得した。
「近年、オーガニックコスメが広く普及するようになってきたが、オーガニックコスメの定義が明確でない。そのため、成分内容が、一般化粧品とほとんど大差がないものが多く存在している。当社は、自社農場で原料栽培から取り組み、高品質の原料であることを実証するため有機JAS認証を取得した。また、原料の放射能検査を実施するなど品質に心掛けている」。
現在、オーガニックコスメ原料の有機栽培を8ヘクタールまで拡大し、コスメ原料を安定・大量に生産するとともにハーブの定植や田植え、稲刈りなどの農業を体験する農産施設として、各種イベント開催や古民家再生などの活動にも取り組んでいる。また、地元の住民と協力して有機農産物の生産とネオナチュラルの加工技術を組み合わせて6次産業化し、郡上市特産品を開発するなどの試験販売を始めている。
一方、同社は、ヘチマを化粧品の原料として使ったスキンケア化粧品を開発するため、政府の補助金制度「農商工等連携事業」を活用して商品化を図った。
農商工等連携事業は、農林漁業者と商工業者がそれぞれ得意技術を持ち寄り、一体となって新技術・新製品開発に取り組むことで、地域の経済振興と活性化に繋げる狙い。2008年7月に経産省と農林省が農商工連携促進法として施行した補助金を含む金融支援制度。
同社は、愛知県名古屋市の「大島町ヘチマ生産組合」と連携を組んで、「有機栽培のヘチマを使用した自然派化粧品の製造・販売事業」として事業化の申請を行い、2009年12月に連携事業に採択、ヘチマの安定生産に道を開いた。現在では、富山県射水市のヘチマ農家「ヘチマの里」とも提携している。
同社の創業は、2004年に設計コンサルタント会社として創業したが、「娘さんのアトピー」を契機に自然派コスメ事業に転換を図った。