【連載】化粧品・美容関連ベンチャー企業の成長軌跡【21】ファンペップ② ~ファンケルと化粧品開発で契約、資金調達旺盛、上場も浮上~

2016.10.7

特集

編集部

ファンペップは、製薬企業との契約に続いて、化粧品メーカーファンケルと機能性ペプチドを含有する化粧品開発に関して契約を締結(2016年6月)した。

天然型アミノ酸から構成される新素材ペプチドについてファンペップは、ファンケルとの共同研究を進めた結果、オリゴペプチドの1種に皮膚の老化予防や肌荒れ改善に有用な作用があることを解明した。

このため両社は、ファンケルが展開するスキンケアやヘアケア分野等において、オリゴペプチド含有化粧品を商品化することで合意し、契約を締結したもの。

同社のこうしたペプチドの研究開発に関わる資金需要は、引き続き旺盛な状況にある。

同社は、2015年11月に国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)を引受先とした第三者割当増資を実施した。増資引受先の科学技術振興機構は、出資型新事業創出支援プログラムに基づいて増資を引き受けた。

同機構の支援プログラムは、2014年4月にJSTが採択した研究開発成果の実用化を目指すベンチャー企業に対し、出資や人的・技術的援助を行う目的でスタートした。

JSTがベンチャー企業の株主になることで、民間の資金が集まってくる「呼び水効果」を狙っているほか、金銭による出資だけでなくJSTが保有する知的財産や設備等を現物で出資することも可能。

同機構に対する第三者割当増資に続いて、2016年4月に大阪大学ベンチャーキャピタル「OUVC」を無限責任組合員とする「OUVC1号投資事業有限責任組合」(OUVC1号ファンド)を引受人とする1億円の第三者割当増資(出資)を実施した。

OUVCは、大阪大学の研究成果の活用促進や事業化促進を通じた新しい社会的価値を創出する目的で、2014年12月に産業競争力強化法に基づき設立されたベンチャーキャピタル(VC)会社。2015年7月に、大阪大学及び民間金融機関と約125億円のOUVC1号ファンドを設立した。

ファンペップは、OUVC1号ファンドからの出資を受け入れたことで、ペプチドに関わる事業拡大に必要な成長資金を確保し、研究開発に調達資金を充当する。

OUVCの投資を契機にここへきて同社の株式公開が俄然、クローズアップしている。しかし、同社のビジネスモデルは、社内でペプチドの研究開発を行い研究成果や事業成果が見込まれた場合、化粧品、医薬品会社等にライセンス供与を行うとともにライセンス供与先が市場で製品を販売した場合、売り上げの一部をロイヤリティとして受け取る仕組み。

こうしたビジネスモデルがクライアントに支持されて今後、収益が一段と向上し、その結果として上場に繋がるか、注目されるところだ。

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