【連載】美容漢方~漢方の新たな市場を創出~【4】漢方養生堂、美容は最初に身体の中から調整していく(上)

2016.12.19

特集

編集部

%e5%a4%96%e8%a6%b3健康食品や漢方薬などの開発・製造を手掛ける新日本漢方株式会社(東京都文京区)が運営する漢方養生堂は、2016年4月に東京・千駄木に新しく開店した漢方薬局。近年増加している不妊症や更年期障害、精神神経症のほか、皮膚や美容に関するトラブルにも対応しており、30年以上に及ぶ中医学の臨床経験の豊富な中医師たちが親身にお客の相談に乗ってくれる。

多くの女性が訴えるシミやニキビなどの肌トラブルは、女性ホルモンの失調から起きやすい。漢方養生堂 代表の周軍氏によると「外からいくら頑張って治そうとしても難しい。まずは身体の中から調整していかないといけない」と強調する。

周氏は、1983年に中国・北京中医薬大学中医学部を卒業。北京で内科医として勤務した後、1992年に来日した。その後、日本の主な漢方医学に関する研究会や教育機関などで、中医薬学の講師として20年以上にわたって教育・臨床指導を行ってきた。2011年には新日本漢方を設立し、代表取締役社長に就任した。

中医学は、整体観と弁証論治の2大理論から成り、“四診”と呼ばれる診断法と自然の生薬を使うのが大きな特徴。病気治療だけに限らず、養生や美容まで幅広く人間の健康をサポートできる医学として、代替医療の分野において重要な位置を占めている。近年、中国では「中医美容学」という独立した学問が確立されており、非常に注目を集めている。

「外在の美は内側から」「皮膚は内臓の鏡」という言葉があるように、中医学では陰陽五行、気血津液、五臓六腑、経絡兪穴など身体の内部から全身の状況を分析して「証」を出し、治則を決めて補気剤、滋陰剤、養血剤、助陽剤など方剤を運用する。内服だけでなく、外用も含めた両面から美容を実践できるのが特徴だ。

皮膚トラブルの一例を挙げると、慢性の蕁麻疹では、身体の中に原因があると考える。「原因は血虚、内風、湿熱など人それぞれだが、内風が多くみられる。血虚も風が生じて痒みも出てくる」(周氏)。

傷寒論が成立した時代では、寒邪が原因の病気がメインだったが、現代はウィルスをはじめとする熱邪などによる疾病が多くなっている。そのため、アレルギー性の皮膚トラブルは「傷寒論の処方では対応できない」(周氏)のが現状だ。

美容は、かつて中国でも楊貴妃や西太后などの身分や地位の高い人間が実践してきた。ただ当時は、高価な動物類の生薬を使った美容法がメインで、一般庶民の手の届くものではなかった。その代表生薬が阿膠。「阿膠は平性なので誰にでも使うことができる。養血、補腎陰でき、女性に良く合う」(周氏)。

こうした生薬は本来、老化防止を狙ったもので、つまり老化を遅らせることにより、良好な皮膚状態を保ち続けた。だから、美容とアンチエイジングは実は密接な関係にあると言える。現在でも「ロバの皮は高級コラーゲンとして、中国でも女性に大人気。美容のデザートといえば阿膠」(周氏)と言われているほど。中国では、ナツメに阿膠をコーティングした「阿膠蜜棗」というお菓子などがある。このほか、美容に用いられる動物性生薬としては、亀板膠などもある。※(下)に続く

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