【連載】美容漢方~漢方の新たな市場を創出~【10】廣寿堂薬局、美容のために漢方薬を飲む習慣を
2017.03.16
編集部
漢方薬専門の廣寿堂薬局(東京都三鷹市)では、病気の治療だけにとどまらず、美容のための漢方相談も行っている。同店代表で漢方薬剤師の佐藤稔子氏は「女性はいくつになってもキレイでありたいもの。お化粧など外見だけでなく、体の中から改善して美しくなってほしい」と話す。
同店は、1994年に開設した漢方専門の薬局。設立者の佐藤氏は元々、西洋薬の新薬開発に携わってきた経歴の持ち主で、当時は漢方とは無縁だったという。ところが、ある時、家族が知人の紹介で飲んだ漢方薬が「劇的に効いて驚いた」(佐藤氏)。病院では治療が難しかった病気を漢方薬が治したことで、漢方に強い関心を抱き、勉強を始め、薬局の開設まで至った。
同店のカウンセリングを受けるには、予約を基本とする。初めての来店者には約1時間相談を行い、漢方エキス剤あるいは煎じ薬を処方する。患者の多くは口コミで、客層は40代が中心。開設当時から通っている年配の常連客もおり、遠方では九州から来店するお客もいるという。
開設当時は、医師の間でも「漢方は全く信用されていなかった」(佐藤氏)。しかし近年は、情報社会の発達で漢方の存在も知られるようになり、「開設当時は漢方薬を最後の手段として試す人が多かったが、現在は病気の治療法として最初から漢方を求めてくるようになった」(同氏)。
美容関係のお悩みとしては、吹き出物が最も多い。「肌トラブルの原因の多くは胃腸にある。そのため、基本的に胃腸を元気にする補脾薬を中心に処方する」(佐藤氏)。治療時間については、「症状が長く続いているからといって、改善に時間がかかるとは限らない。病因とその人の治癒力などによって異なる」(同氏)という。
女性の場合、生理前に肌荒れがひどくなる場合が多い。この時、「吹き出物とともに胸が張って痛くなる人もいるが、漢方的には気の停滞が関係しているため。こういう人はストレスを抱えて“むら食い”しがちなので、夜寝る前には食べ過ぎないようアドバイスしている」(佐藤氏)。
同店では、漢方相談以外に、今年から養生に関するセミナー活動をスタートした。3月20日には、頑固な冷え性の改善方法をテーマに「漢方的生活セミナー」を10時30分から三鷹商工会館101室で開催する。参加費は1,000円(漢方茶、テキスト付き)。同セミナーでは、佐藤氏による漢方から見た冷え改善法のほかに、鍼灸師でヨガ講師の柳澤智美氏がつぼについて講義する。
日ごろの養生については、「自分の体の調子が悪くなるパターンを発見してほしい。こうなると症状が出やすくなるというパターンがある」(佐藤氏)といい、その時に漢方薬を飲むようにすると良い。
佐藤氏は、「美容のために漢方薬を飲むという習慣を定着してほしい」と話す。ただし、あくまでその人の体質に合った処方が必要なので、同店に来店して問診を受けることを勧めている。
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