【連載】化粧品・美容関連ベンチャーの考証㉕ドリームゲート事業で開業、ベンチャー創出を喚起
2017.05.8
編集部
最低資本金特例措置を利用した開業のさらなる促進と大学発ベンチャーの創出を狙いに国は、2003年4月に起業家輩出支援事業「ドリームゲートプロジェクト事業」に乗り出した。
同事業を推進するため、11億円の予算を計上して、経済産業省所管の公益法人「財団法人ベンチャーエンタ―プライズセンター」(Venture Enterprise Center=VEC・注釈)に委託して補助事業として行った。
VECがドリームゲート事業を本格的に立ち上げたのは、同年7月から。VECが行った主なプロジェクト事業は
①起業情報を提供する会員制のポータルサイト「NICE」の運営・管理
②専門家のネットワーク化による起業相談やセミナー開催
③大手企業経営者とのマッチングの開催と事業成長が見込める起業家に対する助成金交付(1社上限1000万円)など。
NICEは、ネット上で、相互に情報交換や起業相談、セミナー開催などの情報掌握できるソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)手法を用いた起業支援ネットワーク。
経済産業省は、ドリームゲートプロジェクト事業について大手新聞に「立ち上がれ日本」と見出しを付けた見開きの広告を掲載するなどして独立開業をあおった。
同事業は、2006年度で終了。同時に、NICEは、2010年3月で終了し以降、民間企業が継承して行っている。しかし、11億円もの税金をぶち込み、官益軍団のVECに金と仕事を与えて行った同事業による開業とベンチャー創出の波及効果と成果検証が見えない。
ユーザー登録数、ネット相談件数、面談サービスなどの年間推移と独立開業数、問題点、課題点の検証が必要で、その姿が見えなかった。
一般財団法人ベンチャーエンタープライズセンターは、日本のベンチャー企業の発展を支援するために1975年に通商産業大臣(現経済産業大臣)の許可を受けて設立した。
以来、ベンチャー企業の資金調達のための債務保証事業を中核的な事業として活動したが、2001年度に債務保証事業を終了した。また、起業家支援プロジェクト「ドリームゲート」は、2003年4月に発足し、2006年度まで運営した。
*注釈
VEC
1994年7月に財団法人研究開発型企業育成センターを名称変更して設立された。国とともに、銀行、証券、保険などの民間企業も出資(出捐)。研究開発型企業の資金借入れに対する債務保証を大きな柱に事業を開始したが、この債務保証の内容は、中小・中堅企業が手掛ける「独自の新技術による新商品の開発プロジェクト」、あるいは「独自の新技術または既存技術の組み合わせにより、大幅なコストダウン・性能向上が実現されるプロジェクト」に対して、プロジェクトの開発計画を審査。審査を通れば、6400万円を保証限度額として借入金の8割を債務保証する。補償付借入限度額は、8000万円。その後、1億2500万円に引き上げられた