【連載】美容漢方~漢方の新たな市場を創出~【12】M’sクリニック南麻布、漢方を活用しつつ養生・治療の知識を患者に伝える

2017.05.29

特集

編集部

美容皮膚科・皮膚科・内科を標榜するM’sクリニック南麻布(東京都港区)では、「医師は薬を処方するだけが仕事ではない。美容や養生、治療に関わる知識をきちんと患者に伝えていく」(院長・伊藤まゆ氏)ことをモットーに、人を大切にした医療提供を地道に行っている。その手段の一つとして、漢方に注目している。

同クリニックは、2007年に開業。院長の伊藤氏は、もともと消化器外科を専門としているため、体の中から整えることで美や健康を実現することについても精通している。漢方に注目したのは研修医時代からで、この時の先生が術後のケアに漢方を重宝していたことから、その影響を受けた。

「当時は、漢方の効果を疑問視する医師が多かったが、実際、術後の食欲改善に成果を上げていた現場を見て、食の大切さを実感するとともに、それを助けるのに漢方が有効であることを知った」(伊藤氏)。

伊藤氏は、医師でありながら、西洋医療だけにこだわらず、養生・治療につながる知識を幅広く吸収しようという意識が高く、サプリメントアドバイザーやアロマセラピストの資格も持つ異色の医師だ。「医師は視野が狭くなりがち。私は自分の幅を広げるため、医療関係者以外の人と交流するのが好き」(伊藤氏)といい、自身で日本臨床自然療法研究会を立ち上げるなど、様々な治療方法を患者に還元していく活動も行っている。

また、伊藤氏は開業以来、白衣を着ないという方針を貫いている。「白衣は威圧感を与える。患者も言いたいことが言えなくなる」(伊藤氏)。毎日、私服で診察を行っているため、クリニック内はアットホームな感じがある。

伊藤氏のこうした姿勢は患者から高い信頼を得ており、一人の患者との付き合いが長く、来院患者は紹介だけで成り立っているという。診察に際しては、処方する薬の説明を徹底して行い、患者への理解を得られるよう努めている。また、未病治療にも力を入れており、例えば会社の健康診断の結果を患者に持参してもらい、前回検査の数値と比較しながら、今後どのような養生あるいは治療が必要なのかを丁寧に説明している。

「病気は医師が治すのではない。治る方向に導くのが医師の仕事。そのために必要な知識を患者に提供して、実践してもらっている」(伊藤氏)。

漢方については、「保険医療として認められているのだから、活用しない手はない。患者の処方箋の筆頭には必ず漢方があり、これにプラスαで治療を考える」(伊藤氏)。来院患者の多くは40~50代の女性が占めるため、更年期のくすみ、たるみ、しわ、しみ、むくみなどの悩みが多いという。年齢的に見て、むくみと血流障害がある場合には、例えば五苓散などを処方。これに伴って不眠もあれば、例えば加味逍遥散などを処方する。

同クリニックでは、女性の悩みに合せてオーダーメイドの漢方薬を処方。女性ホルモンに関わる悩みに対しては、当帰芍薬散、加味逍遥散、桂枝茯苓丸などを使用するケースが多く、患者の症状に合わせて、これらの漢方薬にプラスαで処方していく。

「(製薬メーカーが作成した)“疾患別漢方処方運用シート”を患者に見せながら、なぜこの薬を処方するのかといった説明を必ず行う。患者自身の体のことだから、患者に理解、納得してもらった上で処方することを心掛けている」(伊藤氏)。

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M'sクリニック南麻布

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