【連載】創業100年・老舗化粧品会社の研究②柳屋本店(下)~黒髪大賞、医療用かつらの寄付などCSR活動に力~
2017.06.12
編集部
企業規模の大小を問わず社会の一員を成す企業にとって、事業活動を通じて社会に貢献する「企業の社会貢献活動」(Corporate social responsibility=CSR)が企業の社会的責任を評価する指標となっている。
創業5世紀、柳屋本店にとって髪とのかかわりを重視し、日本の髪を見つめてきた企業として「黒髪美人大賞」(写真)と「医療用かつら」(ウイッグ)の寄付などCSR活動に意欲的に取り組んでいる。
「日本人女性の持つ美しい黒髪を守り今、もっとも黒髪の似合う女性に向けてその美しさを称えたい」として2015年から“黒髪美人大賞„をスタートさせた。
選出基準は
①手入れの行き届いた健康的なつや髪であること
②自然体で清らかな雰囲気があること
③チャレンジ精神が旺盛で毎日を精一杯生きていることの3つ。
これまで同大賞の選考を2015年と2017年(写真)の2回行った。第1回で「柳屋 あんず油」のイメージキャラクターをつとめた川島海荷さんが受賞。第2回は、タレントの高橋ひかるさんが受賞した。第3回の選考について同社は「行う方向で検討しているが時期等は未定」という。
一方、「一人でも多くの方に髪を慈しむ喜びを感じてもらうことが、頭髪文化を守ることにつながる」という考えのもと、、医療用かつらの支援活動にも取り組んでいる。
日本初のNPO法人「Japan Hair Donation & Charity」(通称ジャーダック)を通じて抗ガン剤治療や脱毛症、先天性の無毛症、不慮の事故などさまざまな理由で髪を失った子どもたちに対して髪の寄付「ヘアドネーション」と寄付金を通じて集められた毛髪100%で作られる医療用かつらの無償提供をはじめている。また、NPO法人など各種団体を通じて、プロアスリートの病院訪問や患者の方々の試合への招待、アスリートと子供たちとのふれあいの場の提供、チャリティーオークションの実施などさまざまな支援を行っている。
こうしたCSR活動は、同社にとって「果たすべき義務や役割」にとどまらず、新しい事業の創出や新規市場の開拓など持続可能な発展にもつながる。
その意味で今後、どのような新たなCSR活動を打ち出して実践していくか、今後の施策が注目される。