【連載】大手化粧品会社の研究⑥アジュバンコスメジャパンの会社研究 ~今期増収増益見込む、MAPシステム導入でサロン収益向上~(上)

2018.02.20

特集

編集部

株式会社アジュバンコスメジャパン(兵庫県神戸市)は、1990年に化粧品、家庭用浄水器の販売を目的に有限会社みずフレンドを設立。1998年にアジュバンから現社名に変更した。2013年に東証1部に上場した。2016年には、子会社イノベーションアカデミーを吸収合併するとともに、エクシードシステム(コンピュータソフトの開発)の株式を100%取得し子会社化した。表に会社概要を示す。

同社は工場を持たないファブレス経営であるため、研究・開発と販売のみを行っている。また、研究・開発と販売は別組織となっている。販売は、アジュバンコスメジャパンが担当、研究・開発はアジュバンの全額出資子会社であるアジュバンコスメティック(連結子会社)が担当している。
同社の化粧品販売事業を見ると美容室、理容室、エステサロン等向けの化粧品企画、研究開発、販売、付帯サービス業務を行う。特に、サロンに対し、各種セミナーを通じて商品の説明及びの知識、技術等を提供し各サロンが消費者に向けてカウンセリングによる販売を行う構図となっている。

前期(2017年3月期)の業績(連結)は、同社の化粧品を販売するA・c・Sサロンの安定と経営サポートを目指しながら既存の主力商品の拡充やエクシードシステム株式会社を新たに子会社としたことなどから、売上高は前期比8.4%増の47憶7100万円、営業利益が人件費増や研究所稼働による研究開発費の増加で同19.8%減の5億1900万円、当期利益同24.2%増の3憶3000万円となった。
今期(2018年3月期)の業績見込みは、新たな営業方針として年間販促計画の策定と実行、アフターフォローの習慣化、顧客との関係強化、美顔器の投入などにより売上高51億円、営業利益5憶4000万円、当期利益3億3200万円を見込む。

同社の収益を占うポイントとしてサロンの商品販売による経営力がある。同社の商品をサロンがどの程度、販売し、収益を上げられるかがカギを握る。そのツールとして同社は、サロンに対して総合的な経営サポートシステム「MAPシステム」を提供し、数値化によるサロンの収益向上に繋げている。
MAPシステムの主な機能は
①顧客管理機能(予約受付、顧客管理、スタッフ)
②WEB機能(WEB予約、メール配信、ショッピングサイト)
③経営分析機能(売上・在庫管理、経営分析、勤怠管理)など。アプリケーションの提供やデータ管理などは、全てウェブを通じて行うクラウド型コンピューティングシステム。サーバーの保守管理費は有料だが、ソフト使用料は無料。
MAPシステムの契約件数は、2015年3月期255件、2016年3月期425件、2017年3月期510件となっている。
同社がMAPシステムをサロンに導入したのは、サロンの経営を分析し、戦略を立案するなどのコンサル活動を行うことで、サロンの収益向上に繋げる狙い。MAPシステムは、2010年からサロンに導入し、サービスの提供を行っている。

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