【連載】大手化粧品会社の研究⑦ミルボンの会社研究 ~5ヵ年中期計画策定、コーセーと合弁設立、グローバル化加速~(下)
2018.02.28
編集部
ミルボンは、世界のプロフェッショナル市場においてアジアナンバーワン、世界ベスト5入りを目指すことを骨子とした中期事業計画(2015年12月期から2019年12月期の5ヵ年)を策定し取り組みを始めている。
同5ヵ年計画は「美しさを拓く」をスローガンに掲げ、「アジアNo.1」「世界ベスト5」の企業を目指すというもの。同社は、美容室の化粧品市場において「世界No.1のグローバルプロフェッショナルメーカーを目指す」という長期グローバルビジョンを掲げた。同5ヵ年計画は、そこに至る過程の重要なステップと位置付けている。
具体的な数値目標として、2019年度までに連結売上高350億円。国内と海外の売上比率を国内81.4%、金額ベース285億円、海外比率18.6%、同65億円を計画。連結営業利益は70億円、純利益41億3000万円を目標として設定している。
この数値目標を達成するため、主要な施策としてコーセーと合弁会社を設立して化粧品ビジネスへ参入したほか欧州等へのグローバル展開を進めている。
化粧品ビジネスへの参入は、コーセーとの協業による合弁会社「コーセーミルボンコスメティクス株式会社」(出資比率コーセー51%、ミルボン49%)を設立(2017年7月、東京都中央区)した。製造は、コーセーが、販売はミルボンが担当する。
現在、両社の強みを持ち寄りそれぞれの技術を活かした共同研究や新製品の開発・サロンに対する販売およびサービスの提供を始めている。
ミルボンは、これまでヘア化粧品で行ってきたフィールドパーソンを活用した販売活動を化粧品ビジネスにおいても展開し収益向上に繋げる。
主要な施策として、 欧州等のグローバル展開に取り組む。同社の海外展開では、韓国や中国では存在感のある事業規模にまで成長し、アジアNo.1という目標は視野に入ってきている。しかし、同社が長期的に目指すのはプロフェッショナル向けヘア化粧品市場でのグローバルNo.1が目標。その1つのステップとして同社は、2017年5月にドイツに欧州拠点を開設した。
同社の認識は「欧米市場を攻略するためには、商品ラインナップにおいてヘアケア用剤だけでは不十分で、ヘアカラー剤の市場投入は不可欠」との判断に立つ。また米国では、米法人「ミルボンUSA」がプレミアムブランド「ミルボン」への全面切り替えを行うなど市場攻略に打って出でいる。
いずれも事業モデルについてこれまでの企業間取引から個人取引に転換を図ることで 一般顧客に対してコーポレートブランディングの向上や信用度を高める狙い。