【連載】大手化粧品会社の研究⑫ちふれ化粧品の会社研究 ~新業態店・シーマルシェを強化、新規顧客獲得狙う~(上)

2018.03.19

特集

編集部

株式会社ちふれ化粧品(埼玉県川越市、非上場)は、1947年9月に創業して以来、2018年9月で満71年になる。70年を超える社史(表の沿革参照)の中で化粧品を全国規模で販売することが実現できたのは、女性の地位向上を目指す消費者団体「全国地域婦人団体連絡協議会」(全地婦連)と提携(1968年)し、会員への組織販売を開始したことが大きい。
両社は、提携に当たって3つの方針「適正な価格」「安全性を重視した製品づくり」「成分・分量の公開」を定め、合意に事づいて提携に踏み切った。1971年には、消費者からの要望により大手百貨店や有名量販店等で化粧品の販売を開始した。すでに同社は、百貨店を中心に全国で約252店を展開するなど業態を拡大している。

海外展開も早い時期から推し進めた。同社は、2010年度を「第二創業期」と位置づけ、「文化・言語・国籍・年齢・性別を超えて毎日の生活に欠かせない化粧品「ユニバーサル・コスメティックスを目指す」という新ビジョンのもとに海外展開を始めた。
その新ビジョン具現化の第一弾として2010年4月1日から中国の有力小売業「ワトソンズチャイナ」と協力体制を組んで、ドラッグストア・バラエティショップを融合したチェーン店舗で基礎化粧品類15アイテムの販売を始めた。
当初、中国での化粧品ビジネスは、上海を中心に販売攻勢をかけ順次、中国全土に販売網を拡大していく計画でいたが現在、ちふれブランドは、高い支持を得ており特に、日本円1000円前後の価格帯が存在感を高めている状況にある。

国内で新業態の直営店「シーマルシェ」(写真)の展開も注目される。シーマルシェは、自社ブランドのほか、同社として初めて他社の化粧品や雑貨を扱う。2014年からシーマルシェの店舗展開を始めたもので第1号店を大森に開設した。
シーマルシェの店内は、赤い屋根や木目調のデザインを採用した。既存店と同じように化粧品について相談できる販売員を配置する一方、自分で商品を選びたいセルフ需要にも配慮した。
他社の化粧品では、自然派化粧品、ジャパンオーガニック株式会社(東京都渋谷区)の「ドゥーオーガニック」の美容液などを販売している。雑貨は、ちふれが「安心・安全」「手ごろな価格」といった基準で選んだエプロン(1000〜2000円程度)やハンカチなどを扱う。直営店で他社の商品を販売するのは初めて。同社の「ちふれ化粧品」の売り場の主要顧客より若い20〜40代女性の利用を掘り起こす作戦。

同社は今後、シーマルシェを複合商業施設やショッピングモールを中心に出店する。店舗面積は既存店より広い33平方メートル前後として他社商品を加えて品ぞろえを増やし新規顧客の獲得につなげる。

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