【連載】大手化粧品会社の研究⑭ジュジュ化粧品の会社研究 ~ヒアルロン酸の皮膚保湿作用向上を実証~(下)
2018.03.30
編集部
ジュジュ化粧品は、ヒアルロン酸(身体に含まれる多糖類の1種)の皮膚保湿について大きな研究成果を生み出している。ヒアルロン酸の保湿効果について同社は、3種類のヒアルロン酸を混合することにより、皮膚保湿作用が向上することを見出したもの。
同社は、ヒアルロン酸の原料として高分子ヒアルロン酸、低分子ヒアルロン酸及びヒアルロン酸を誘導体化しプラスに荷電させたカチオン化ヒアルロン酸の3つに着目し、混合物の保湿作用に対する効果を試験した。
保湿試験は、3種類を混合した0.1%水溶液と高分子ヒアルロン酸のみの0.1%水溶液を人の前腕部内側に塗布して角層水分量の測定を行った。
塗布は、塗布前を0分とし、塗布10分後、20分後、40分後、60分後、120分後まで測定を行った。その結果、高分子ヒアルロン酸のみに比べて3種類を混合することで、角層水分量値が増加することを示すなど、皮膚の保湿作用が向上することが明らかになった。また、角層部分に浸透させるため、平均分子量1万以下・平均分子サイズ約15~25ナノメートルの低分子ヒアルロン酸(加水分解ヒアルロン酸)を使用し、角層部分に浸透することを実証した。
加水分解ヒアルロン酸の浸透性試験(図1)では、角質層において蛍光ラベル化した加水分解ヒアルロン酸の特異的な蛍光発色が検出された。 また、カチオン化ヒアルロン酸はプラスに荷電しているため、皮膚に吸着することが確認されている。
ヒアルロン酸塗布による角層水分量の変化は、高分子ヒアルロン酸・加水分解ヒアルロン酸・カチオン化ヒアルロン酸を混合した水溶液を肌に塗布すると高分子ヒアルロン酸のみの水溶液と比べて増加したことが明らかになっている。
同社が3種のヒアルロン酸化合物を組み合わせることにより皮膚保湿作用が向上することを確認した
背景には、様々な種類のヒアルロン酸が高い保湿効果を持ち、多くの化粧品に配合されている。しかし、ヒアルロン酸を組み合わせることによる効果については、不明な点が多くあったことによる。
研究成果は、小林製薬の系列下に入った翌年の2014年9月に行われた日本油化学学会等で発表している。
また、同社の化粧品にヒアルロン酸を配合して商品化した化粧水・乳液「バランシーナ」を2014年から市場投入するなど販売強化に取り組んでいる。
ところで、ケシミンを主力とする小林製薬とジュジュ化粧品、それに薬用ローション「 オードムーゲ」(医薬部外品)等を取り扱う六陽製薬のグループ3社のスキンケア事業について、2018年度までに100億円の大台乗せを目論んでいる。